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第55話
「シロ、クリスマスもお終いだね…」
18:00 三叉路の店にやってきた。
支配人が外に立って客寄せしてる…
「今日は流石に人来るでしょ?だってもうクリスマスは終わりだよ?」
オレは支配人にそう言って控え室に向かった。
誰もいない控室…寂しい…
パン1になってメイクをする。
勇吾の友達から貰ったメイク道具も使い慣れてきて、だんだん上手に出来る様になってきた。
アイシャドウのノリが全然違う。全体に色付いて綺麗に塗れる。
さすがプロの道具は違うんだな…
今日も暇なのかな…
19:00 店内に行くため階段を上る。
エントランスが騒がしい…
おお!お客さん来てるじゃん!
階段を上ると騒がしい外国人がわらわらと占領している。
オレは忙しそうな支配人を横目に店内へ向かおうと外国人を避けながら歩いた。
「なぁ、お前ストリッパーだろ?」
腕を掴まれグイッと引き上げられる。
「った!何すんだよ!」
オレは頭にきて相手の頭を横から引っ叩いた。
あはははは!
と、そいつは笑ってオレを持ち上げると、壁に押し付けて足の間に体を入れて腰を押し付けてきた。
一連の動作が早すぎて手練れ感満載だ…やばい
オレはそいつの首に肘を当ててこれ以上こっちに来ない様に防ぐ。腰を掴む手がオレの尻を弄って揉む。腰を擦り付けてオレの股間に当ててくる。
「お前!ふっざけんな!サル!離せ!クソザル!」
「はは…お前可愛いな、犯しちゃおうか?」
オレの頭を鷲掴みして顔を無理やり上にあげる。
すっげぇ乱暴なサルだ!
オレは足を曲げて思い切り蹴飛ばした。
呻いて体は離れたけど…
頭を掴んだ手が離れない!
後ろに回られて抱きつかれる!
ヤバイ!やられる!
「支配人!助けて!」
オレが叫ぶと、支配人がこの事態に気付いて、血相を変えて駆けつける。
オレを抑え込む力が抜けて解放される。
必死に逃げて振り返りながら叫んだ。
「こいつ!出禁にして!クソザル!死ね!」
「あははは!ただ戯れただけだよ、ごめんな?怖かった?ははは。かぁわいい!」
最悪だ!クソザル!
オレはそいつに近づいて顔をフルスイングで引っ叩いた。
「2度とくるな!」
そう言って店内に逃げる。
何だあいつ!たまにいる行儀の悪い奴の、倍の倍の倍の倍、MAXに行儀が悪い奴!!依冬に殺されろ!
カウンターに行って髪を手で直す。
ムカつきが止まらない!
桜二に貰ったブレスレットを右手で包んで触る。
桜二は今日仕事の付き合いで、迎えには来てくれるけど…お店には来ない予定なんだ…
落ち着けオレ…落ち着け…
まばらな客の店内にザワザワと群衆が入店する。
さっきの奴も入ってきた!
支配人!何であいつを入れてんだよ!!
カウンターの席を立ち、群衆が来る前にステージに上がる。
外国人達はオレを見て喜ぶ。
YouTubeスゴイネ!と言ってるからこいつらは観光客っぽい…あいつの連れじゃないのか…
オレは適当に笑顔でポールに登り避難してあいつを見送る。オレに手を振って投げキッスするのを無視して通り過ぎたのを確認すると、スルルっとポールから降りてスマートにステージを歩いて、早歩きで支配人の元に行った。
「ばかぁ!何であいつ入れたんだよ!あいつオレを無理やり犯そうとしたのに!酷い!オレよりもお金が大事なの?酷い!」
怒って支配人の前で暴れる。
「シロ…仕方ないだろ?お客さんだ。外国人の客とは別で、外国人達はYouTubeでお前を見たと言ってた。お前を襲った奴は金持ちのボンだ。色を付けたから入店させた。何かあれば追い出すし、ボーイを側につけてる。ショーを見るだけだ。」
「うう……!良いもん!」
オレはムカつきながら店内に戻った。
カウンターに戻って飲みかけのビールを掴むとステージに向かった。
「なぁ、お前こっち来いよ…」
そんな声が聞こえたけど、無視してステージに上がる。
観光客の前に行って座ってビールを飲む。
お前らオレを守れ!
「シロ~!ダンス!イイネ~!」
勇吾の友達のおかげでオレは片言の相手が上手くなったぞ!
「サンキューサンキュー!どこから来たの?」
「オー!ユナイテッドステーイツ!」
なんだどこだ?まぁ良い…
「YouTube見たの?面白かった?」
オレが聞くとワーーー!っと盛り上がる。
こいつらは良い客だ。
チップもたんまり買ってるみたいだしサービスしよう。
「シロ!何でそこにいるの?」
依冬の声がして顔を向ける。
「依冬!依冬!」
ユナイテッドステーイツの客に挨拶して立ち上がり、ステージの上からビールを持って飛びつく!
「何だ何だ!」
「依冬!お前を待ってたぞ!」
依冬はオレを体につけたままカウンター席まで歩いていく。
お前の重心は完璧だな!
オレのアイアンゴーレムだ!
「シロ、赤い髪、可愛い…よく似合う…」
オレの髪を撫でてうっとりと見つめる依冬…
お前はイケメンだ、しかも強い!
「ねぇ、会議大丈夫だった?桜二は今日は遅いんだ…、依冬上がるまでいられる?」
オレは依冬の顔をじっと見つめる。
頼むよ、あがりまでいるって言って!やな客がいるんだよ!
「良いよ。シロ…本当に可愛い…赤がよく似合うね?桜二に見せた?きっと喜ぶよ?可愛い。」
オレの顔に近づいてさりげなくキスする。
お前って…カッコいいな…惚れる
「似合う?可愛い?」
オレはすっかりイラつきを忘れて依冬にデレる。体を寄せてべったりくっついて腕を絡ませてデレデレする。
「シロ…そろそろ」
支配人に呼ばれて依冬にキスして離れる。
「な?手ェ出してこないだろ?」
偉そうに支配人が顔を寄せて言って来るから鼻で笑った。
「オレのレイプ事件もそうだけど、本当アンタは人ごとだと思って…甘く見過ぎだよ、やめてよ。マジで…」
「そんなつもりはねぇよ。ちゃんとやるから…信用してくれよ。」
「さあね、フン!」
オレは用心してステージから控え室に行くと、控室の外扉に鍵をかけて入れないようにした。
カーテンの前で深呼吸する。
手首に巻いた桜二のブレスレットを撫でて彼を思い出して口元が緩む。
桜二…大好きだよ
音楽が鳴り始めてカーテンが開く。
オレは笑顔を作ってステージに向かった。
さすが英語圏!ステージ前の観光客達がすごい盛り上げてくれる。
オレは気分が良くなっていつもより頑張って踊る。
走ってポールを掴んで、体を斜め上に上げながら足首でポールを掴んで体を起こす。
太腿に掴みなおして、足を振って体でスピンを回しに行く。ポールの上の方に手を置いて掴むと、足を外して上に上げて逆さになる。手を離して体を逸らし太腿を緩めて一気に下に落ちて止まる。
いちいち歓声が上がって気持ちいい。
昨日とは大違いだ…
体を起こして反らせながら上の服を脱いでいく…
今日は黒シャツに短パンだからやり易い。
ボタンを外しながら肩を揺らすと、トントンと段階的に肩、背中を露出させていける。
最後のボタンは外さないで、太ももでポールを挟んだ状態で頭を後ろに下げて肩を上げてシャツの袖を外し、次に胸を上げて胸元と背中を露出させて、手を袖から引き抜いてシャツを脱いだ。そのままクルッと周り降りて床近くで頭から反動をつけて派手にスピンさせた。
ポールから降りて体を添わせ腰を揺らしながら纏わりつくシャツを落とすと、いやらしくうねらせながら足を広げ腰を落として立ち上がる。
早くない?
既に観光客の皆さんがチップを咥えて寝転がったりわいのわいのと楽しそう。
その様子についつい顔が綻ぶ。
オレは1人の観光客マダムの上に跨ると見下ろして微笑みながらズボンのチャックを開けた。
「オーーーーーマイガッ!!」
と連呼して顔を赤くして両手で隠す。
何て…何て可愛い反応なんだ…!
オレは触れないように腰を落としてマダムの手を握って顔から退かしていく…
だって口のチップが取れないんだもん…
目が合うともっと顔を赤くして、顔を近づけると静かになった。
小さな声でふふっと吐息混じりの笑い声をかけて口を開ける。触れないようにチップを咥えて、腰を上げて逆立ちし、そのまま後ろにバク転して戻る。オレの体にマダムの香水がまとわりつく。
列になって並ぶ人にはパンツに挟んでもらったり口に咥えさせてもらったりする。
観光客達は喜んで楽しそうで何よりだ!
ふとまだ取り残しのお客を見つけて近く。
「あ~、お前か…」
さっきのあいつだ…金持ちのサルだ!
さりげなく依冬を見ると目が合った。
何かあったらコイツをやっつけてくれよ…お前の剛腕でぶっ殺してくれよ!
オレはそいつの頭の上に座り顔を覗き込む。
プロだからな!
笑顔で取りに行くよ…
「何だよ…もっとくれないの?」
口に咥えたチップの色を見て不満を口にし一旦引く。待つ間、サルの髪の毛をいじってやる。グルーミングだ。
オレはとらないんじゃなくて、お前の咥えてるチップが不満なんだよ…金持ちなら奮発しろよ…
「これなら?」
差し替えを待ってもう一度覗き込む。
まぁ妥当だろう。
「絶対触るなよ…顔、面蹴るからな?」
オレはそう言って、そいつの体に上から覆いかぶさるようにして両手で太腿から腹まで手を這わせて撫でた。
オレの腰を掴んで自分に寄せて、股間を舐めようとするから膝を内側に入れて防ぎ、そいつの肩に反対の膝を乗せた。
「本当に…お前はサルだな…」
そのまま脇腹を撫でて胸元まで撫でてやる。
オレの腹の下で笑ってる声がするから、あいつの腹に頭を置いて確認する。頬をすべらせて胸元まで上がってそのまま顔まで頬を添えて行く。
はぁはぁ…と荒い息になるサルに教えてあげる。
「ストリッパーは誰とでも寝るわけじゃないよ?仲良くなりたかったらお利口にしな…チップをたんまりくれたら顔を覚えてやるよ。それが出来なきゃまだお前にはこの遊び方は早いって事…分かる?」
サルの目を見ながらオレがそう言うと、あいつは固唾を飲んでオレの言葉を聞いた。
体を起こして両肩まで滑らせた手を腕に添わせて手の先まで這わせていく。恋人つなぎして口を近づけて付かないように咥えてチップを取る。さっきまでの威勢は何処に行ったのか…すっかり良い子になったサルを褒めてやる。
「お利口に出来るじゃないか…偉いよ。頑張ったね。」
そう言って体を起こすと両手で顔を撫でながら立ち上がった。
そのままポーズを取ってフィニッシュした。
控え室に戻ってメイクを落として半袖短パンに着替える。
何だあいつ…急に大人しくなったな…
変な奴…
オレはステージから店内に戻ると依冬の所に小走りで行った。
「依冬!依冬!」
後ろから抱きついてスリスリする。
「シロ、何でさっきこっち見たの?」
…アイアンゴーレム
「別に…お前の顔が見たかっただけだよ…」
顔を掴んでプニプニする。
「お前って体はムキムキなのにほっぺはプニプニだな!かわいい、依冬ちゃん!かわいい!」
されるがままになって目を瞑るお前は何だ?どうしたんだ?骨抜きなのか?
可愛くてたまらなくてキスした。
こうやって見ると、依冬はどの男よりもイケメンだ…。少しオレの兄ちゃんに似ているから、もしかしたら贔屓目に見てるかもしれないけど…でもかっこいい。
20歳の男の出す色気じゃねぇ!
次のステージまで依冬と新居のお掃除当番表を考えたりして過ごした。
「シロ…そろそろ着替えて」
「は~い」
返事をして依冬の側を離れる。
まだ警戒してるからオレはステージから控え室に行く。鍵が閉まってることを確認してメイクする。
衣装は長襦袢にする。
赤髪なら似合うしジャパニーズカルチャーだからな!わざわざ見に来てくれたんだ。
おもてなししないとな!
時計を見ながら確認する。
「シロ、そろそろ」
カーテンから支配人が声をかけて来る。
オレを見て首を傾げて笑う。
「なんか今日は一段と来るものがあるな…」
そうか…?
長襦袢のパワーは侮れない…!
カーテンの裏で待つ。
桜二のブレスレットを撫でてさする。
蹄鉄の鉄の部分が冷たくて指で転がす。
桜二とキスしたいな…
音楽が流れてカーテンが開く。
長襦袢の裾から足を交互に出しながら歩いてステージへ行く。
ジャパニーズエロだ。
ピンクの照明をかけられてる…!
支配人の計らいなのか…昔ながらのエロだな…
着物を着て現れたオレに観光客の皆さんは大盛り上がり!やったね!
体を落として斜めに座って裾から足を出して、肩から少し襟元を落とした。
そのまま仰向けに寝転がって足を裾から覗かせて、腰を浮かせてファックしてるみたいに動かす。
襟元を指で挟んで、腰に巻いた帯まで滑らせて、反対の手で胸元を撫でる。
どうだ?オレのジャパニーズオナニーは!
体を起こして胸元をこっそり閉めてポールに近づく。
両手でポールを掴んでいやらしくしゃがんで腰を動かす。下からねっとりと突き上げてそのまま足をポールに絡み付ける。まるで男に絡みついてるみたいに足と腰を動かして体を仰け反らして喘ぐ。
片足ずつ絡ませながら上に登る。
体を仰け反らして回ると帯を外す。
下まで揺らめいて落ちる帯は上から見ても綺麗だった。
ポールの上で長襦袢の襟を両手で掴んで少し上にずらし、腰元で纏めて片手で掴む。肩を落としてずらした分の襟元を背中から垂らして体を露出させていく。
裾から出る自分の足に酔う。エロいな…
クルクルと回りながら降りて片足づつ下ろす。
ステージに戻り、後ろ向きにしな垂れて片足を立てる。ハラリと長襦袢の裾が落ちてついでに肩も落とす。お決まりのオナニーポーズをして体を仰け反らせて腰を動かして喘ぐ。
そのまま寝転がってうつ伏せになり四つん這いになる。
だらんと長襦袢がはだけて確かにエロいな…
チップは?
誰もステージに寝転がっていない状況に呆気に取られて四つん這いから座り込んでしまった。
「妖艶な美しさのシロにチップをお願いします~」
支配人が異例のアナウンスをして、やっと客がわらわらと動き出した。
「オゥ…シロ…ソービューティフォー…オゥ…」
何?感動しちゃったの?ウケる。
女性客は感動して、男性客からは高揚したオーラを受け取る。
オレは四つん這いになりながら余り濃厚にサービスしない様にチップを頂いて行く。
今度桜二とこれ着てやろうかな…
「シロ…ユアソービューティフォーボーイ…」
やばい目つきになった観光客のおっさん…
奥さんコイツ止めてくれ…
オレの腰に手を回して舐めようとするから笑顔で腰を引いて一度立ち上がる。
支配人が奥で手を振る。
チップを諦めろ!とサインして来る。
嘘だろ?
目の前にこんなにあるのに…!
オレは支配人の指示を無視してチップを取るのを続けた。
大人しくなったサルがまた寝転がっている。口には沢山のチップが咥えられている。
サルに近づいて見下ろす。ギラギラした目でオレを見て口元を歪めて笑う…。
極まってんな…危ないかも…
なるべく近づかないようにサルの頭の上に立って、前屈してチップを取りに行った。徐々に近づくオレにあいつの息が荒くなっていくのが分かる。今にも襲い掛かりそうな気迫を感じて身を引いて手を伸ばしてチップを取りに行った。
「口で取れよ…なぁ、シロ、口でしてよ!」
オレの伸ばした手を掴んで自分に引き寄せるサル。
オレは動揺を隠しながら手を解くとサルのチップを諦めた。危険すぎる。
不満な顔をしてポーズを取ると踵を返してカーテンの奥にはけた。
信じらんない…、チップを取れなかった!
オレは鏡の前に座りメイクを落としながら桜二にスピーカーで電話した。
「もしもし?聞いてよ、長襦袢でステージしたら客が興奮しすぎてチップを取れなかった!最悪だ!こんな事信じらんない!!」
「もしもし?そうなの?刺激的すぎたのかな?」
「知らないよ!もう!支配人がさ、もう戻れって手でやるんだよ?酷いでしょ?」
「あはは…シロの危険を感じたんだよ。ね?怒らないでさ…守ってくれたと思って。ね?」
優しい声…
「うん……分かった。」
「もう直ぐ終わるから、終わったら迎えに行くから…ね?」
「うん…分かった。」
「愛してるよ…」
「オレも…愛してる」
電話を切って鏡を見る。
ため息をついて深呼吸する。
今までチップを取り損ねるなんて無かったのに…この長襦袢は諸刃の剣だ…男をおかしくする。
外から階段を降りてくる音がする。
支配人の足音じゃない…鍵を確認する。
閉まってる…
誰だよ…酔っ払い?
ドアを開けようと取っ手が下がる。
鍵かかってるから開かないよ!
何度も何度も取っ手が下がって不気味…
そのうちドンドンと扉を叩く音がして、だんだん激しくなっていく。
「な、何だよ…」
扉の近くに行って耳を澄ますと男の声が聞こえる。
「早く開けろよ…廻そうぜ…俺が先な…」
マジかよ…
次にドアを蹴る音がしてドアごと壊れそうな気がして後退りする。
鳴り止まない音に恐怖を感じてオレはステージに戻って依冬を探した。
「シロ!セクシーボーイ!カモン!カモン!」
「シロ~!こっちに来いよ、ほら!早く!」
かけられる声に荒々しさを感じて固まる。
店内もやばい雰囲気だ…
「依冬!依冬!」
どこにいるかも分からない彼の名を呼ぶと、ただならぬ雰囲気を察したのかステージの側に来てオレの名前を呼んだ。
「シロ?危ないから奥に居た方がいい。」
「来て!来て!」
依冬を呼んで控え室に入れる。
ワーワーと荒れる客をウェイターが制して場を収めて回る。
何なんだ!?何が起きてるの?怖いな…もう。
控室に入れた依冬に、ガンガンとドアが蹴られている状況を見せる。
「うわ…酷いな…」
「これ、怖い」
オレが依冬の後ろに隠れて指差して言うと、依冬は躊躇なく鍵を開けてドアを開いた。
依冬の体でよく見えないけど、足が2,3人分見えた。
「何だよ…あ?お前ら何だ…」
凄む依冬…怖い!カッコいい!殺しちまえ!
「奥の奴出せよ!用があんだよ…!」
威勢の良い奴がそう言って中に入ろうとした。
予告もなしに依冬が相手を殴った。
ゴッ!と鈍い音がして膝から倒れる男が見える。
1発でやっつけた…!強い!かっこいい!痺れる!でも、
やばい…!
「依冬!抑えて!殺したらダメだ!」
後ろからしがみついて止める。
「おい…ヤバイよ、帰ろうぜ…」
そうだ退け!お前らに勝機はない!
オレのアイアンゴーレムが制御可能なうちに逃げろ!
「おい、待てよ…」
押し殺した声で相手を止める依冬…
依冬!抑えて!
オレは依冬を掴む手に力を込めた!
「怖がらせて謝りもしないで、帰んじゃねぇよ…」
「す、すいませんでした……」
深々と頭を下げる下衆は倒れた友人を連れておずおずと階段を上って行った。
倒れた奴が起き上がったのを見て安心するなんて…依冬は長襦袢と同じで諸刃の剣だ…。
またドアを閉めて鍵をかける。
「依冬…怖かった!」
オレは依冬に抱きついてスンスン鼻を鳴らした。
「この服は危ないね…」
オレの腰に手を回して抱きしめる。
「店の中も怖い…チップも諦めた…」
オレの頬を撫でて上に向かせる。
カッコいい、オレのアイアンゴーレム…
オレは体を添わせて背伸びして依冬にキスする。舌で唇を舐めて口の中に入れて舌を絡める。
「シロ…俺も興奮してるから…やめた方がいい」
「依冬…口でして…」
長襦袢ってヤバい…身をもって分かった…
依冬はオレに向き合うと、長襦袢の襟元を両手で広げて、体を指で撫で下ろしながら顔を近づけて、オレの乳首を舐める。声を押し殺して体を仰け反らせ感じる。
そのまま下着を脱がせてオレのモノを舐める。
オレは依冬の髪を掴んで快感に身を捩らす。
ソファに座って足を広げて、依冬にホールドされ口で扱かれる。
あぁ…きもちい…!
オレの乳首を触って捏ねる指先がエロくてクラクラする。
「んん…依冬…!イッちゃう!はぁはぁ…んっ…あ…ぁあ…ん…!!」
体を仰け反り腰が震える。
はぁはぁと息をするオレを愛おしそうに見て指を中に入れて来る…
「声が出ないように…キスしてて…?」
オレが言うと依冬は膝をついて体を寄せてオレにキスする。
「ん…ん……はぁ……んん……ん、んん…あ…ん」
依冬の手が離れてチャックを下げる音がする。デカいモノがオレの穴に当たってグリグリと中に入ってくる。
「依冬…外に…んっ外に出して……ん…んっ」
オレが言うと頷いて腰をグッと押しつけて中に挿れて来た。
ヤバい…声を出さないなんて出来るのだろうか…
長襦袢って何なの?
何でこんなに男を狂わせるの?
依冬のモノが根元まで入り緩く動かすだけで頭に快感が走る。
「はぁはぁ…声出ちゃう……あっああ…ん…きもちい…依冬…ん……あっああ…だめぇ…」
依冬は顔を紅潮させてオレの口に舌を入れる。そうだよな…こうするしか無いよな…
「ん…んん…んぁっ…ふっ…んん…」
ヤバい…きもちい…すぐにイキそう…
緩く動かす方が、お前のって気持ちいい…!
オレのモノがビクついてるのを見て依冬が笑う。
何度もチュッチュッとキスして喘ぎ声が出ないようにしながら腰を少し強く動かした。
「依冬…イッちゃう…ん…んん…はぁはぁ…」
オレは彼にしがみついて肌に噛み付く。
依冬のモノがグンッと太くなり暴れる。
彼は慌てて外に出すとオレのモノにぶっかけた。
マジか…
それが気持ち良くてオレもイッてしまった。
何でだろう…背徳感が半端ない…
「俺、江戸時代に産まれたら絶対男を抱くな…」
控室での情事も終わり、メイクをするオレのボディガードをしながら、ソファーに腰かけた依冬がポツリと呟いて言った。
「へぇ…何で?」
「だってすごくエロいから…」
「はは、ばかだな。エロいのは男じゃなくて、オレだよ。」
鏡越しにチークのブラシを依冬に向けて横に振り、チッチッチと舌を鳴らす。
「確かに…じゃあ江戸時代のシロを抱きたい。」
「はは、ばかだな。江戸時代じゃなくても、今、長襦袢着れば良いじゃない!それでお前は侍みたいな格好するの。」
はみ出した口紅をティッシュで拭き取り脇のゴミ箱に捨てる。
「確かに…そういうのってなんていうの?」
「ん~、ロールプレイ?ん~、イメプレ?」
暗黒の長襦袢を脱いでパン1で鏡に向かって化粧する。
そんなオレをソファに座って眺める依冬。
相変わらずオレ達は下らない話で盛り上がって笑った。
何度かドアがコンコンとノックされたが無視した。
支配人かな…足音がそうだったから…
ともだちにシェアしよう!