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第2話
「悪くないよ。好きな人にいいとこ見せたいってことでしょ。じっさい孝弘はそれで成長していくんだから、こういうのって一石二鳥っていうんだっけ?」
安藤からも似たようなことを言われたことがあった。お前は無理めなことにチャレンジして伸びていくタイプだな、と。
べつにそういうつもりはないのだが、ハードルの高い目標があると燃えるタイプなのは確かだった。
幼稚園のかけっこやスイミングの時代から始まって、学生時代の部活や試験など明確な目標があるほどやる気が出る。子供のときからそうだから、これはもう持って生まれた性格だろう。
これは一石二鳥なのか?
「ちょっと違うような。いやそうでもないか。そうじゃなくて、べつにかっこつけてないから!」
「そう? だってさ、なんかすごく男っぽい感じしたんだ、祐樹さんといると」
「当然だろ、好きな相手にいいとこ見せようと頑張るのは」
開き直って言ったらレオンはくすくす笑って立ち上がった。
「うんうん、いいことだよね。とりあえず、食事にいこ。すごくお腹すいてんだよね」
レオンの希望で餃子専門店に行き、燕京ビールで乾杯する。
30種類以上ある餃子から豚肉と白菜、キノコと羊肉、エビとニラなど5種類ばかりの餃子を頼んだ。もちろんすべて水餃子だ。
香港でさんざんいいもの食べてるだろうにと思うが、2年間北京で暮らしたレオンには水餃子の味が懐かしいのだろう。黒酢をつけて、あーこれこれ久しぶりとうれしそうに顔をほころばせた。
「孝弘に会いたかったのもあるけど、今回は店舗の最終確認に来たんだ。あしたデザイナーと会って内装のチェックするよ。今のところ上海店はかなり順調だけど、北京はまた事情が違うだろうから」
「そうか、オープンまであと1週間だっけ。この前、ちょっと通りかかって外観だけ見てきたよ。内装は工事中だったけど」
店のことは孝弘も気にかけているが、北京に赴任してから忙しくて実際に足を運ぶ時間は取れていない。
「あ、そうなの。どんな感じだった?」
「悪くないよ。ってレオンも見てきたんだろ?」
「うん、こっちに着いて直行した。でも孝弘とはまた意見が違うかもだから、俺の感想いうまえに聞いとこうと思って」
「街中で気軽に入れるカフェって感じでよかったと思うよ。観光客の多いエリアだし、地元の人間も来ると思う。新しい物好きだしね」
北京でも若い世代を中心にコーヒーを飲む習慣はそれなりに根付き始めている。
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