「おっ、少し動き始めた、かな？」 ゆーたは前を向いて車をゆっくり進めてる。 「カーナビが調子悪いんだよなー。……なぁ、とまりナビは？動く？」 「現在起動中だよぉ……」 慌ててバッグから携帯を取り出して、地図アプリを起動するのです！ ばっちこいGPS！ 僕もお役に立つ時が来たのです！ 「はい！いつれも……いつでもいいよぉ」 噛んじゃった。へへ。 ゆーたも笑ってる。 「ふふ。この先どっかで左に曲がんなきゃいけないんだけど、そろそろかな？まだ先？」 うーん、この丸いのが僕たちで……目的地がこれだから……。 「分かったっ！二個目の信号を左らよ！」 とまりナビ、ぽんこつ！ ゆーたが笑いを堪えながら、もう一回僕の頭をなでなでしてくれた。 「ありがと、とまり。……なぁ、なまむぎなまごめなまたまご」 ゆーたから突然の無茶ぶりが来たぞー！ 鼻がちょっとムズムズするけど気合入れていくよぉ！ えい！ 「なまぶっ！……へくし！」 えへ。途中でくしゃみしちゃった。 ゆーたは僕を横目でちらちら見ながら、必死で笑いを堪えてる。 「ふ、ふふ、ふ、『なまぶ』って。とまり、リトライ」 むー。リベンジするよ！ どうだ！くらえ！ 「なまむりなまのめなまなまこ！」 どーん！ 「くっ、あはははは！ごめんとまり、ちょっと『むり』だったね。『なまこ』とか言わせてごめん……く、くくくくくっ、やべ、苦し、なまなまこ苦しい」 早口言葉言った途端にゆーたが大爆笑したよ！ うん。ある意味大成功だね！ ゆーたがちょいちょいって手招きするから、なに？って運転席の方に身を乗り出したら、ゆーたが笑いながらおでこにキスしてくれた。 「笑っちゃってごめん、とまり。ありがとう。最高。大好きだよ」 えへー。僕もゆーた大好きだよぉ。 「じゃあ、ゆーたの番ね。となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ」 ゆーたは僕のほっぺをむにむにしながら、 「となりのかきはよくきゃくくうかきだ……ん？」 「ぶー！お客さん食べられちゃうじゃん。カニバリズムな柿になっちゃうよぉ」 仕返しでゆーたに思いっきりバッテン出しちゃった。ばーつ。 ん？そうだよ。僕たちはいつもこんな感じで楽しくやってる。 いいでしょ。らぶらぶだよぉ。 む、むむむっ？ 『客食う柿』……なんか面白そうなネタ落ちてきたよー？ めもめも。 これでも文筆業やってるからね。いつでも気を抜けないのです。 ただの阿呆じゃ終わらないよーっ！