二個目の信号を左に曲がって、七時四十五分。 無事目的地到着！ 「あぁ～！間に合ったねぇゆーた！ありがと！」 駐車場に車が止まって、僕はゆーたに抱きついた。 「とまりナビのおかげだよ」 えへへぇ。褒められちゃったよ。 さて、急いで来たここは、どこかと言いますと！ 「とまり、バッグ」 ゆーたが僕のバッグを後部座席から取ってくれたよ。 レモン色のこれはお風呂セット！ そう！ここは！ 「入浴料、八百五十円だって」 あれ、ちょっと先に言われちゃった。 気を取り直して……ここはどこかと言いますと！ スーパー銭湯なのです！！ スーパーなのです！ ……いや、別にスーパーじゃなくてもいいんだけどね？ ちょっと勢いで言っちゃった。ごめん。 僕んちのお風呂……というか給湯器が壊れて、お湯が出なくなっちゃったんだねぇ。 この寒い時期に水風呂は、鈍感な僕でもさすがに無理だよ……。 お隣さんのゆーたのお母さんが、お風呂貸すよって言ってくれて、僕もそのつもりだったんだけど、ふと、僕って銭湯行ったことないなぁ、って思ったの。 まがりなりにも物書きである身としては、いろいろ体験して、引き出し増やすことも重要でしょ？ 思いついた勢いでちょちょいと調べてみたら、近場にスーパー銭湯がオープンしてるじゃありませんか！ これはもう行くしかないよね。 公式サイト見たら今日はメンテナンス日で、入場は夜八時まで、夜九時閉館って書いてあったから、大急ぎで支度して、ゆーたに車出してもらって駆けつけた訳なのです。 何はともあれ、間に合ってよかった！ 広いお風呂入るんだー！ 入り口で係のおねえさんにお金払ってきょろきょろしながら中に入ってみる。 なんせ初めてですからのー！！ おおー！なかなか繁盛してらっしゃる。 今、ほかほかにこにこした人たちとすれ違ったよ。 お風呂あがりの人たちだよね、きっと。 いいなぁ、僕らもお風呂入ってほかほかにこにこしたい！ あっ、飲み物売ってる。 牛乳売ってるー！！牛乳！！ 「あ、飲みすぎてとまりが腹壊すやつじゃん」 ゆーたがからかってくるけど、そんなことはもうしません！ 人は過去の過ちから学んでいく生き物なのです。 僕もお風呂上がりの牛乳の適正量くらい……分かるもん！ わー！見えてきたよ！お風呂の暖簾！