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第37話 反発

「オオサキと同じこと言うなよっ!」  俊は思わず激昂した。  桐谷に対してこんな乱暴な口のきき方をしたのは初めてだった。  ……でも、本当は分かっていた。オオサキと彼は全く違う。桐谷は俊のことを心から心配して言ってくれているのだ。  十三年間、俊が苦しんできたことも、きっと桐谷なりに理解してくれている。  彼の優しさが、俊のことを思ってくれる気持ちが、痛いほどに伝わってきた。  だから桐谷に対し、声を荒らげ乱暴な言葉を吐くのは、筋違いだと分かっていながらも……止まらなかった。 「オレは自分が死ぬことになっても、奴らを殺してやるんだ……!!」  俊の自暴自棄ともとれる言葉に、桐谷はたとえようもない悲しい顔をしたが、次の瞬間には切れ長の瞳で鋭く俊を射抜いた。 「アンダーグラウンドの世界は、簡単におまえを死なせてはくれないよ」 「え……?」 「俊、おまえほどの美貌を持ったやつを、アングラ世界の人間がそのまますんなり殺すと思ってるのか? 金の亡者や欲望にまみれた輩たちがうようよしている世界では、おまえはこのうえなく価値のある商品なんだよ。……おまえならノン気の男でもその気にされることができるかもしれない。ましてや少しでもその気がある男どもにとっては、極上の獲物だろうな。ズタズタになるまで凌辱され、薬漬けにされ輪姦されて、それを撮影されて、闇ルートで売られて。おまえを喰いつくして商品価値がなくなったら殺して捨てる……おまえが飛び込もうとしている世界はそういうところなんだ」  自分で言った言葉に嫌悪を覚えたのか、桐谷が苦しげに顔を歪めた。  俊もまたショックを受けていた。  体に戦慄が走り、体がガタガタと震え出す。

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