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第46話 翌朝

 俊が目を覚ましたとき、最初に飛び込んできたのは、見慣れぬ遮光カーテンの隙間から差し込む日の光だった。  …………?  頭はまだ半分眠りに捕われていて、記憶がうまく繋がらない。  俊は部屋の様子を見ようと、寝返りをうった。 「いたっ……」  途端に痛みが体を走り、一気に昨夜の記憶がよみがえった。  ……そうだ、僕、昨夜、先輩と……。  思いだすと、どうしようもない恥ずかしさに襲われた。  先輩はとても強引だった。いつもの優しい先輩とは思えないほど……でも……。  俊にとって、それはなにもかも初めての経験だったけれど、決して嫌ではなかった。  ……それどころか、僕は先輩と一つになれて、とても幸せで……。  事件のことさえ、頭から消えてしまうほどに、彼に抱かれているひとときは幸せだった。  そして、意識が途切れる前に、桐谷が囁いた言葉が俊の耳朶に今もはっきりと残っている。 『愛してるよ……俊。別の道をオレと歩いてくれないか? おまえの家族にならせて……』  桐谷先輩……。  俊の目に涙が滲んできて、慌ててそれを拭った。  ……そういえは、先輩はもう仕事に行ったのかな?  寝室にはいないし、扉の向こうにも気配はない。  だいたい今、何時なんだろう?  部屋を見渡すと、ベッドサイドにある小さなテーブルに、時計が置かれていた。  時刻は午前十一時十分。 「もう昼前だ」  俊は呟くと、痛みに悲鳴を上げる体を騙し騙し、半身を起こした。

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