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第68話 そして愛し合う②
「先輩のせいです。先輩の前以外じゃ、僕もうずいぶん長いあいだ、泣いたりなんかしなかったのに」
悲しみよりも憎しみのほうが大きい時間を送ってきたから。復讐をとげるまでは、泣いている暇なんかないって思っていたから。
でも、桐谷先輩と再会して、凍っていた心が溶けだしたんだ。
長いあいだこらえていたものが、溢れてしまった……先輩の優しさに触れて。
「これからはさ、俊」
桐谷が耳元で囁く。
「これからはなにもかも二人で分け合って生きていこうな。悲しみや苦しみ、そして幸せも……」
俊は涙が溢れて声にならなかったので、何度もうなずいて桐谷に応えた。
桐谷の唇が俊の耳朶を甘噛みしてから、耳の後ろ、首筋、鎖骨へと降りてくる。
時々肌を強く吸い上げられ、所有の印を刻まれる度に、軽い電気が走ったような快感を覚え、俊の体が小さく跳ねる。
彼の唇が小さな乳首にむしゃぶりついたとき、ひときわ強い快感が押し寄せ、俊は大きく頭をのけ反らせた。
「あっ……ん……」
甘ったるい声が漏れるのが恥ずかしいのに、どうしても声を抑えられない。
そんな俊の反応を楽しむように桐谷は乳首へのいたずらを続けた。
そして、桐谷の右手が俊の下腹部のそれに触れた瞬間、
「あっ……、先輩っ……だめっ……」
一気に絶頂へと昇りつめた。
あまりにもあっという間にイッてしまった自分が恥ずかしくて、視線を逸らす俊を、桐谷は愛しげに見つめてくる。
「かわいい……俊……。でも、まだ始まったばかりだよ? もっともっと気持ちよくしてあげるから……」
桐谷の唇で執拗に乳首をいじられ、右手の中のそれを淫らに愛撫され、イッたばかりだというのに、俊はまたすぐに熱を取り戻す。
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