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第70話 そして愛し合う……④
桐谷は自分の雄を入り口近くまで抜き、また一気に奥まで突き上げることを繰り返した。
俊の小さな穴を押し広げて、桐谷が何度も何度も入ってくるたび、それは固さも大きさも増していっているような気がして……。
俊の視界が快感のあまりぼんやり霞んでくる。
ふうっ……と気を失いかけては、桐谷の鋭い突き上げにまた意識が現実へと引き戻される。
「や……あ……先輩、もう、許して……あっ……」
「だめだよ……俊、まだ……」
「あっ……ああ……あっ……」
体も心も宙に浮いているような感覚だった。
快感一色で染められていく脳裏の隅っこで、
……宇宙遊泳って、こんな感じなのかな……。
そんなふうに思う。
今、このひととき、世界には、ううん、宇宙にも僕と先輩しか存在していないみたいな気がする……。
二人のおびただしい汗がシーツに吸い込まれ、激しい息遣いが寝室に響き渡る。
一つに繋がった場所からは、誰にも聞かせられない淫らな音がしている。
俊と桐谷は強く抱き合ったまま、ほとんど同時に高みへと昇りつめていく。
俊の甘く掠れる悲鳴と、桐谷の低い呻き声が寝室の空気に溶けて行った。
俊は自分と桐谷の腹部に、桐谷は俊の体の奥深くで、熱い精液をたっぷりと放った。
「……あ……あ……先輩……」
俊はもう息も絶え絶えだった。
激しすぎた情交に、完全に意識が別世界を彷徨っていた。
「……俊……」
桐谷のほうも、俊の上に乗りかかり脱力したまま、荒い呼吸を繰り返している。
やがてそれが落ち着いてくると、桐谷は俊にもう一度深い口づけをした。
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