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第71話 明け方まで
桐谷の舌が自分の口内を這いまわるのに任せながらも、時々、無意識に俊のほうからも舌を絡ませていた。
深い口づけを交わしているうちに、俊の中に入ったままだった桐谷が、また勢いを取り戻してくる。
「あ……や……、先輩……」
俊の形ばかりの抵抗に構わず、桐谷はゆっくりと動き出した。
初めは緩やかに。でも次第に激しさを増して……。
「俊……、俊……」
桐谷の感じ入った掠れ声が、俊の体を疼かせる。
俊を貫く彼の雄は完全に力強さを復活させ、否応なしに俊はまた、深い快楽の波に呑み込まれていく。
ズン、と勢いよく突かれるごとに、頭の先から爪先まで狂おしいほどの気持ちよさが走りぬける。
「あ……あ……先輩……も……死んじゃう……死んじゃうよ……」
限界を超える快感に俊は泣き叫んだが、桐谷は突き上げてくるスピードを緩めなかった。
俊の小さな顔を両手で包み込み、涙で潤む目元にそっとキスをする。
「まだだよ……俊。今夜は眠らせないって、言っただろ……?」
桐谷のほうも快感に声を掠れさせ、俊を熱っぽく見おろしてくる。その顔はとても綺麗で色っぽくて……。
中学時代の面影をかすかに残しながら、今の桐谷は大人の男になり、俊を守り、包み込む力を備えていた。
俊は彼の力強い腕の中で抱かれ、快感に悶えながら、同時に絶対的な安心感と幸せを覚えていた。
――そして桐谷は言葉通り、開け方まで俊を快楽の世界で溺れさせたのだった。
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