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チェインジング・ダーリン22

 だがまあ森崎にバスの方を任せたのなら、老婦人を連れた犯人の集団に単独で突っ込むのは確かに厳しいといえる。微力でも何かの役に立てると思っての冰の判断なのだろう。 「よし、猶予はねえってことだ。俺たちも援護に掛かる! 一之宮、準備はいいか」 「いつでも行ける!」 「犯人たちを拡散するように突っ込んでくれ! 李はこの場から俺たち全員の動きを見て上空の源次郎氏に援護の通信を頼む! 行くぞ!」 「了解!」  周を乗せた紫月のバイクが勢いよく走り出すと同時に、鐘崎の方ではワゴン車を停めて冰が運転を代わり、人質の婦人を保護して警察の待つ飛行場入り口へと向かったようだった。 「カネは丸腰だ! 犯人が発砲する前に阻止する! 一之宮、頼んだぞ!」 「オッケー! 振り落とされんなよ!」  鐘崎と犯人の男三人が対戦している現場を目指して紫月が全速力で突っ込んで行く。上空からは源次郎がヘリの高度を落として援護に掛かった。  上から煽られ、地上ではバイクが猛スピードで向かって来る。焦った犯人が銃を取り出し応戦しようと気が散漫になった時だった。周がその銃を撃ち落とすべく続けざまに発砲する。高速で走るバイクの後部座席からという不安定な状況とは思えない正確さで、犯人たちの構える銃のみを確実に吹っ飛ばす腕前は神業といえた。三人すべての銃を撃ち落としたと同時に、その様子を見て取った鐘崎も相手が丸腰になったことで追い風となり、すぐさま体術で次々と犯人たちをその場に沈めていった。  ひとまずは制圧できたものの、先に機体へと乗り込んでいた犯人の仲間が今度はライフルのような銃を手に続々と降りて来た。 『狙撃班、犯人の行く手を遮るようにヤツらの足元付近の路面を撃て! 注意を引き付けて老板たちに近寄らせるな!』  李の合図で三箇所からの狙撃が開始される。  上空からはヘリの風に煽られ、何処からの攻撃か分からない位置からは銃弾が飛んでくる。犯人たちもさすがに身動きが取れなくなったようだった。 「クソッ! まずはバイクだ! バイクのヤツらと婆さんを逃したクソ野郎を片付けろ!」  後から降りて来た犯人たちが紫月と周、鐘崎に向かって狙いを定めた時だった。冰の運転するワゴン車が猛スピードで戻って来て、三人の盾になるように停止した。 「鐘崎さんッ! 乗ってください!」  森崎が後部座席のドアを開けて手を伸ばし、鐘崎を回収する。 「倉庫に爆弾が仕掛けられてる! 吹っ飛ぶまで時間がねえッ! ひとまずここを離れるぞ!」  鐘崎の怒号で紫月と周のバイクを守るようにワゴン車が後ろをついて走り出す。上空からは源次郎が犯人たちの行く手を塞ぐように機載のマシンガンで威嚇し、バイクとワゴン車が避難する時間を確保、滑走路に銃弾の雨を見舞った。

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