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チェインジング・ダーリン23
そうして周ら全員が飛行場入り口へと辿り着いたのと入れ替わるように待機していた機動隊が装甲車数台で犯人たちの確保へと向かって行った。また、先にバスの人質と共に避難した森崎からの報告を受けて、警察の爆発物処理班が既に倉庫内へと潜入、ギリギリのところで回収が間に合ったようであった。
「どうやら爆破は免れたようだな。森崎、冰、それに氷川と紫月もよくやってくれた」
鐘崎がホッと肩を撫で下ろしていると、見知った顔の男が一人、不敵な笑みを携えてこちらへと向かって来るのが分かった。
「あの男、確か……」
紫月がハッとしたように目を丸くしている。
「鐘崎、ご苦労だったな」
近付いてきた男がニッと口角を上げて言う。態度はふてぶてしいが、短い言葉ながら彼の本心からの労いが込められたもののようであった。
「あいつは刑事か? お前らの知り合いなのか」
周が紫月の耳元で囁いている。
「ああ、うん。警視庁捜査一課の刑事で、確か課長かなんかだったと思うけど……」
「捜査一課の課長だと? にしちゃ、えらく若えが……」
周が驚くのも無理はない。彼は鐘崎らよりも少しばかり年上といった感じだったからだ。
「俺は面と向かって話したことはねえけど、遼とは結構前から顔見知りのはずだ。確か……めちゃくちゃエリートの出で、けど現場にも進んで突っ込んでって陣頭指揮を取るとかで捜査一課長としては珍しいらしいぜ。警視庁の中でも型破りで有名だとかって聞いたな」
「ほう?」
そんな話をしている傍らで、男は鐘崎に向かって柔和な調子で話し掛けていた。
「今回もまた世話になったな鐘崎。お陰で爆破も止められ、誰一人怪我人も出さずに済んだ」
男が礼の言葉を口にする一方で、鐘崎の方も苦笑している。
「また現場にしゃしゃり出て来やがったわけか。相変わらず型破りなところは変わらんな」
「まあな。これが俺のやり方だから仕方ねえさ」
「だが、よく何も口出しせずに俺たちの好きにやらせたな?」
まずは明らかに銃刀法違反で引っ掛かるだろう。如何に離れていたとはいえ、周や源次郎らの銃撃が見えなかったとは思えないからだ。
「ああ。バスの横についた時、窓にお前の姿が見えた。居合わせたのは偶然なんだろうと思ったが、お前があの場にいるなら任せた方が賢明と思ったまでだ」
「は、人使いが荒いのも相変わらずなこった」
「それが俺の長所だからな」
男は不敵に笑う。
「長所って、お前なぁ」
鐘崎もやれやれと肩をすくめ、苦笑ながらも楽しそうに相槌を返している。
「実はこの事件を追いながらお前らの組に助力を頼もうかと思っていたんだ。最初はただの事故かと思ったんだが、店に残っていた従業員たちから事情を聞く内に人質事件と分かった。連れ去られたのは客とスタッフを合わせれば四十人を越す大人数だというし、これは大変なことになったと頭を抱えていた。お前の携帯が繋がらなかったんで源次郎氏にかけたんだが、その段階で既にお前らの組が動いてくれていることを知った。正直、あのバスにお前の姿を見た時は天からの授かりものだと光明がさしたくらいだ」
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