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極道たちのクリスマスパーティー2

 その頃、周と鐘崎の二人は例の事件があった宝飾店へと顔を出していた。  地下の電気室が爆破されてしまったので、開店まではまだ時間が掛かりそうであったが、年明けの再オープンに向けてスタッフたちが準備に忙しくしていた。  二人が行くと支配人が飛んで出迎えて、先日の礼を述べたのだった。 「鐘崎様、周様、お陰様でお客様方にお怪我を負わせることもなく大事に至らずに済みました。本当に……何と御礼を申し上げてよいか……! ありがとうございました!」 「いえ、既に社長さんからも厚いご挨拶をいただいて、こちらの方が恐縮です」  鐘崎は穏やかに笑むと、早速に今日出向いた要件を支配人へと告げた。 「それで――例の物が出来上がったとのことでご連絡をいただいたのですが」 「はい、ご助力いただいた上にこのようなたいへん有り難いご注文までいただきまして、それこそ御礼の言葉もございません。本当にありがとうございます」 「こちらこそ急ぎで無理を申し上げて恐縮です」 「とんでもございません! ではどうぞこちらへ。お気に召していただけると良いのですが」  店奥のプライベートな空間に案内され、支配人が注文の品を開けると鐘崎と周の二人は嬉しそうに表情をほころばせた。 「おお、こいつぁすげえな! いいじゃねえか。冰と一之宮の驚く顔が拝めそうだな」 「ああ。明日あの二人に見せるのが楽しみだ」  そうなのだ。今頃は鐘崎邸でケーキ作りに精を出している紫月と冰へのクリスマスプレゼントとして、旦那組の二人からもサプライズの贈り物を用意していたというわけである。  店としても開店早々に災難な事件に遭ったばかりだし、このようにして独自の注文をもらえるのは非常に有り難いわけだろう。支配人に厚く礼を言われながら二人はサプライズプレゼントを手に店を後にしたのだった。  そして翌日、クリスマスイブのパーティーは汐留の周の邸で行われた。  夕方の四時頃からスタートということで、周邸では家令の真田を筆頭にシェフやメイドたちが朝から張り切って準備に追われていた。  クリスマスといえばこれまでは毎年紫月の実家の道場で行うのが恒例だったので、今宵は紫月の父や道場に住み込みで手伝ってくれている綾乃木、鐘崎組からは源次郎、そして先日の約束通りクラブ・フォレストの里恵子ママとその恋人の森崎も呼ばれて賑やかなパーティーと相成った。  室内の飾り付けは真田がいつも以上に張り切って本物のもみの木を取り寄せ、丸一日掛けてリースなどを飾り付けたらしい。さすがにメインダイニングには入り切らない大きさで、パーティーは一番広い応接室として用意されているボールルームで行われることとなった。

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