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極道たちのクリスマスパーティー11
黒をベースに深い焦げ茶色の糸で端の方にだけ幾何学模様が織り込まれており、裾には長めのフリンジが美しい。
「白龍は移動は殆ど車だからさ、コートはそれこそすごくカッコイイのを持ってるし……。そういえばあんまりマフラーしてるのを見たことがないなって思ったんだ。車から降りてちょっとだけ外を歩く時とかにいいかなって」
そうなのだ。訪問先の企業などで駐車場から建物内までの短い区間を歩く時など、コートを羽織るまでもないかなという場合にいいのではないかと思ったわけだ。
周は早速首に巻き付けると、『どうだ?』と言って嬉しそうに口角を上げてみせた。
一見にしてどこのブランドのものと分かるロゴのような模様は入っていないが、生地の風合いなどから高級感と品の良さは一目で分かるようなタイプのものである。マフラーそのものももちろん気に入ったが、使うシチュエーションや機能、それに見た目など、いろいろなことを考えながら選んでくれた冰の気持ちを思えば、周にとってそれは何よりも嬉しいものだった。
「うん……! やっぱり白龍は何でも似合うね! 元がカッコイイから当たり前か」
冰が嬉しそうにそんな感想を言う。
「本当にすげえあったけえぞ! 今ちょっと首に巻いただけなのに、室温が上がったのかってくらいだ」
「うん、何かそうみたいね。店員さんがさ、襟元に一枚あるとないのじゃ感じる寒さが全然違うんですよって言ってた」
「なるほどな。首をあっためるだけでこんなに違うものか。それに何と言っても肌触りが抜群だ! 軽いしあったけえし、それにデザインも言うことなしだ」
「ホント?」
「ああ、本当のホントだ!」
「良かったー! 最初ね、白龍だから名前にちなんで白か――それとも”焔”のイメージのワイン色でもいいかなって思ってたんだけど、俺にとって白龍は一番最初に会った時の印象が強くてさ。”漆黒の人”にはやっぱり黒かなって」
そうだ。初めて出会ったその時、幼い冰が周に抱いた印象を黄老人が”まさに漆黒が似合うお人だ”と教えたというエピソードである。今でもその頃の思いを大切に覚えていてくれる愛しき伴侶に、周はこれ以上ないというくらい瞳を細めては感激の気持ちを噛み締めたのだった。
「ありがとうな、冰――。一生大事に使わせてもらう」
「そんな……一生だなんて……古くなったらいつでも交換していいよ」
「いいや、一生だ! こういうものは大事に使えば一生もつものだからな。こんなに嬉しいことはねえ」
「白龍ったらさ、大袈裟なんだから」
「大袈裟でも何でもねえさ。なんて言ったってお前が俺の為に選んでくれたんだから、その気持ちだけでも感無量だ」
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