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一太と初めての思い出つくり

組事務所はピリピリとした張り詰めた空気に包まれていた。九鬼の若いのが因縁を付けて、うちの舎弟をぼこぼこにしやがった。 「動きがあったらすぐに連絡を寄越せ!」 俺が機嫌が悪いを察し、誰一人喋ろうとはしなかった。しーんと静まり返っていた。 ドアの方から物音が聞こえてきたような気がしてむくっと体を起こした。 「カシラ?」 「ドアが開いたような気がしたんだ」 「誰もいませんよ」 「だよな。疲れているのかな?」 椅子に座り直そうとしたら、若いのが下を見て笑うのを必死で堪えていた。 (机の下に誰かいるのか?) ちらっとそれとなく覗き込んだ。隠れていたのはなんと一太だった。俺を驚かせようと、床にぺたりと座り、小さな手で顔を隠し、いないいないばぁーの練習を一生懸命していた。 健気であまりにも可愛らしいその姿はまさに天使そのもの。俺は一瞬で胸をぶち抜かれた。イライラしていたのがすぅーと消えていった。

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