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一太と初めての思い出つくり
驚く練習をしておかねぇとな。
でもその前に散らかった机の上を片付けないと。一太に怪我をさせたら橘の雷が間違いなく落っこちる。なんて考えていたら、
「ない、ない、ばぁーー!」
一太がひょっこりと顔を出した。
「うわぁ~~びっくりした。なんだ一太か。おじちゃん、心臓が止まるかと思ったぞ」
「たぁーー!」
作戦大成功!一太はぴょんぴょん跳び跳ね、手を叩き大喜びしていた。
「カシラ、ナイスリアクションです」
俺より舎弟たちのほうが気が気じゃなかったみたいだ。良かった。ほっとし胸を撫で下ろしていた。
「ママと遊びに来たのか?」
一太は首を横に振った。
「違うのか?それじゃあ、根岸のおじちゃんか?」
「うん」
ニコニコの笑顔で大きく頷いた。
「ちゅいか!しゅいか!」
「俺には酒のつまみの酢いかにしか聞こえないんだが、お前らはどうだ?」
「酢いかじゃなくて、す・い・か・だ。カシラ」
根岸が姿を現した。
「まだ孫にもなかっていないのにオヤジは一太が可愛くて仕方がないみたいだ。大きいスイカをニ玉も寄越した。だから、駐車場でスイカ割りをしようかと思っては。橘と未知さんが準備をしている」
「未知がいるのか」
思わず身を乗り出した。
「嬉しいのは分かるが、一太に焼きもちを妬かれるぞ」
ギクッとして一太を見ると今にも泣きそうな顔で俺をじぃーと見つめていた。
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