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③
「さいなら~じゃねぇぇぇ!待てって、どこに行くんだ!」
こちらの怒りに気がついていないのか、奴は店から出てスタスタと歩き出す
「ごめんね〜俺暇じゃねーんだわ。お茶のお誘いパス、わりーな」
「そんな訳ねーだろっ、だからっ」
「また今度付き合うからさー…おっ、よぉ!」
必死に話しをする俺を遮り、急に横取り野郎は手を挙げ、俺の後方に視線を投げ掛けた
ん?知り合いでもいたのか?
反射的に俺も後ろを振り向く
誰もいねーぞ‥
捻った首を前に戻し愕然とした
「げっ、いねぇ!!!」
さっきまで目の前にいたはずの腹立つ奴がいなくなっている
と、その前方に走り去るバス
そのバスの後方座席からこちらを見て嬉しそうに手を振る人を捉えた
奴だ!!
「くそがっ、待ちやがれッ」
走って追い掛けるが、人の足は文明の力に及ばずどんどん遠退いていく
もう体力の限界と足の止まった俺が最後に見たもの
奴は自分の口を指差して、大きく口を開け
『バ・カ』と。
勝ち誇った顔と間違ってなければそう言ったであろう言葉を残し
奴はいなくなった
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