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第2話 - ①
ムカつく奴
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くそ、クソッ、クソーーッ!!
治まんねぇ
一日経っても腹の虫が治まらねぇ
念願の物が手に入る一歩手前でぶち壊された俺の怒りは海よりも深い
人生の中で一番の屈辱
一日にして天国と地獄を垣間見た
あの野郎、マジぶち殺す
「お~~い、根岸。顔こえーよー」
「あ゙?」
「周り見てみろよ。客どん引き」
ヤベッ
余りにもムカつき過ぎて、今バイト中なのを忘れてた
趣味の音楽の情報を常にキャッチ出来て、なおかつ近所、時給も高ければなお良し
そんな条件にピッタリなバイトにすぐさま応募して、このレンタルショップに週に3、4回バイトに入って、はや半年
バイトの仲間も気の合う奴ばかりで、音楽の話しで盛り上がったり、一緒にライブに行ったりするぐらいになった
俺と同じように趣味を兼ねて、という奴が多いのもあるが…
(と、心を入れ替えて真面目にやらねーと…)
あの腹立つ顔を振り切るように、背筋を伸ばし
フッと一呼吸入れたちょうどその時
「お願いしま~す」
「いらっしゃいませー」
レジに人が来た事で、反射的に答える
営業スマイルを貼付けた顔を上げ客と目が合うと…
「げっ!」
「あ゙っ!」
同時に声を発していた
(こ、この…この顔はぜって~忘れねェエエ!)
メキメキと青筋が浮き出てこめかみが痙攣
いつの間にか右手は拳を作って、爪が食い込むほど力がこもる
「お前、昨日の横取り野郎が。丁重に縄につけやぁぁぁ」
「あ〜やっぱり?マジかよ~世間って狭いわ」
「ァ゙ア゙?よくも昨日はコケにしてくれたなぁ!」
客とか関係ない
怒りに任せ奴の襟を掴み締め上げていた
「まーまーそう怒りなさんな。接客業は笑顔命でしょ?え~っと、ネギシさん?
あんまりここではマズいんじゃね~?」
奴は俺の左ポケットに留められているネームを見たらしい
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