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④
コイツっ!殴りて~
十中八九このメシ代は俺が払う事になる
いや、完全に全額俺持ちか‥‥
くそっ、バイト代が‥
ブルブルと震える右手をなんとか治め、気持ちを落ち着けさせる
「本題に入るぞ。あのレコードだ!譲れ」
「うわ~ズバッと来たね。まさに直球、シンプル、でもって上から目線。そんなに欲し~んだ。でも‥‥無理だね」
「な!」
「まぁまぁ、落ち着けって。俺もちょっとした思い入れがあって、『はいどーぞ』とは、言えねぇんだ。
さぁまた振り出し、どーしよっか~ネギシさん。とりあえず、飲むか!」
(こ、コノヤロ~ッ)
飄々とした話し方に人を逆撫でするニヤついた笑いをし、グイッと旨そうにビールを飲む奴を睨む
「じょーだん、冗談だって!ネギシさん、短気はそ・ん・き!」
「怒らせてるのはテメーだろーが!」
「い~や、ネギシさんのはカルシウム不足だね。怒らすなんてとんでもない。俺は自我共に認めるイイ奴!だから今から家来る?」
は?
話しがぶっ飛び過ぎて着いて行かれねぇ
「家、来なくてい~んだ?ざーんーねーんー。ネギシさん、レコード聴きたいかな~って思ったん‥」
「ッ、い、行く!誰が行かねぇって言った!
ほら、行くぞ」
俺は二つ返事で食いついた
こんな嬉しい事はない
善は急げだ
まだデザート食べてな〜い!とほざく奴を引っ張り上げ、立たせる
「おぉ忘れてた。俺、鴨居。よろしく、ネギさん」
おい、普通忘れねーだろーが…
ニヒルな笑みを浮かべるムカつく奴から
鴨居(カモイ)に。
俺はネギシさんからネギさんに呼び名が変わり、それが昇格したのか降格したのか
そんな事を思い、歩き始めた時
「ネギさん、ネギさんッ。そうそう、これもよろしくね」
伝票を手渡され
さらに会計で1万3000円の金額をレジで見て
「あーーー、DVD借りるの忘れてた!!
頭弱いネギさんから飯たかる事考えてたのが、マズかった~!浮かれ過ぎた~」
やっぱ、ぶち殺すか
再度右手に力を込め、新たな殺意が芽生えた瞬間だった
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