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第3話 - ①
鴨居の家
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何だかなぁ
つい昨日知り合って、いや違うな
喧嘩ごしで出会って、今日は酒を酌み交わして
しまいにはコイツの家に来て
のんびり寛いでいるとはな
昨日の敵は今日の友、と言うけどまさに今その状況
「しっかし‥‥汚ぇ~」
「そう?比較的、綺麗な方だけど」
どこがだよと思わずにはいられない
床に雑誌やら服が落ちていて、何故気にならないのか
高級マンションに連れて来られて、ビビったのは外観だけじゃなく室内も。
その広いと思われる室内は、見るからに宝の持ち腐れ状態
うわ~、片付てぇ
整理整頓好きの俺としては
こんなのを見ると腕がなる
そんな事を考えながらも、手は近くにあった本をすでに拾い、棚に戻していた
「はい、ビール。ネギさんって綺麗好きなんだね」
「お前が汚いんだ」
「うげぇ、俺が不潔っぽい言い方やだな~。なぁネギさんってもしかして年上?」
「何で、もしかして?なんだよ」
「同い年かなぁと思ったけど、発言が親父臭いから」
こめかみがピクピクと痙攣を起こす
「いや~ん、恐いっす。ネギさーん、そんなに怒ったら顔皺だらけになるよ。顔だけが取り柄っぽさそうなのに~」
俺が睨んでも気にすらそぶりもなくケタケタ笑う鴨居は、俺の2歳下の20歳という事や、大学は1年行ったらしいが
『勉強が簡単過ぎて辞めちゃった』
と、言ったあと
『ネギさんは苦労してそうだね〜、見るからに頭悪そうだもん』
ニヤつく顔でそう付け加えた
そんな鴨居をギブギブと降参するまでどつき、暴れた為にまた床に散らばったCDや転がっているギターに目に止まる
金持ちなのかわからないが、ギターも1本ではなく見える所だけで3本、しかも電子ピアノがあったりと。
あのレコード屋で会った時にも感じていたが、かなりな音楽通だと思う
「っておい、レコードは?」
「あら〜そこは覚えてたんだね、そろそろ聴く?」
「もちろん!」
待ちに待ってました!
その思いが顔にも出てしまう
嬉しさのあまり昨日こいつが俺に対してした事など、頭から消え去り笑顔で答えてた
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