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②
「おっ‥‥へ~~、ネギさんって‥‥」
「ん?何だよ」
「いや~、気にしないで」
ニヤニヤと含みを持たせた笑みを浮かべながら、手慣れたように鴨居がレコードをセットし針を落とす
レコード独特の音がして
(来た!!)
目が覚める爆音
一気に身体をもってかれる感じ
鼓膜と心臓が撃たれる
ギター音が掻き鳴らされ怒号を響かせ紡がれる言霊
腹にくるベースの重低音と断続的に激しく叩かれるドラム
ヤベェ、あの時と一緒だ!
顔がニヤける
笑みが止まんねぇ
本当に心臓にクる曲聴いた時は
『笑っちまうよ』
あぁ、全く
血液が沸騰する
内にしまい込んでいた歪み、濁りがすべてが溢れ出して、感情は楽しさしか無い
勝手に体がリズムを取ろうと動き出し、頭を上下に振りたくて堪らない
それぐらい興奮する
「すっげーーーやっぱ最高!なぁ鴨居、もう一回聴いてもいいか?」
俺を見ていたのか鴨居の方を向くと目がすぐに合う
「~~へっ?あっ、どーぞ、どーぞ」
何だ?
何か考えごとをしている複雑そうな表情を垣間見るが、響き渡る音に思考を切り替えられる
(やっぱいい、かっけ~!)
なんでこのロックバンドが人に知られる事がなかったのか頭に過ぎる
今も活動していたら絶対ライブに行きたかった
ライブTシャツ着て、汗だくになるまでモッシュしたかった
惜しいよな…
色々な気持ちが交差しては何度も針を落とし聴き直す
「なぁ、ネギさん」
そんな無我夢中になっていた俺に鴨居が声を掛けてくる
「ん?」
「レコード欲しい?」
最初、何を言われたのか理解が出来なかった
しばらくして単語一つひとつがストンストンと落ち、それが頭の中で文章となった時
爆弾を投下されたほどの衝撃が走った
「!!!!!!!!!!
お前、今っ!マジか!?欲しい、すっげー欲しい!」
「いいよ~、そんなに欲しいならあげる」
「鴨居ィイイイ、お前ちょーイイ奴じゃん」
一気にテンション上がる
その嬉しさのあまり、勢いよく鴨居に抱き着いていた
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