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③
「ネギさん?えーと…」
「あ、悪ィ!」
またやっちまった
この癖直せって言われてんだった
テンション上がると嬉しさを表現せずにはいられなく、距離感がバグる
ライブが終わった後はよく、知らない奴と肩組んで、笑い合っている事も。
俺の突然の行動に驚いている鴨居から離れようとした時
驚いている顔はすぐニヤけた顔に変わり、奴からもギュッと抱き着いてきた
「お、おいっ」
「イイね~、なんかネギさん面白れ~。イイ!俺気に入った。レコードあげるから俺のモンになってよ」
はい?
耳元で言われた事が理解出来ず、少し身体を離し鴨居の顔を伺い、再度考えてみる
「‥‥へっ?何言って‥‥ちょっと待て…‥え?‥‥‥‥駄目だ。やっぱ、お前の言ってる事理解出来ねぇ」
「だ~か~ら~、俺のモノになって!」
もう一度同じ事を言う鴨居は、ニヤつく笑顔で今度は俺の唇を親指の腹でなぞり出す
「ひっ」
ぐぉぉぉ、一気に寒気がきた
コイツ、危ねぇ
本能がバシバシと警報を鳴らす
鴨居の挑発する目を見た瞬間、獲物を狩る肉食動物を連想し
直ぐさま奴から離れ、リュックを掴んでいた
「か、帰るわ、じゃあな」
「へぇ、レコードい~んだ~」
後ろから聞こえる悪魔の囁き
喉から手がでるほど欲しい
が、その秤は割に合わない
「くっ…そんな冗談に付き合うほど、俺は要領良くねぇんだよ」
「あはは、ネギさんが要領悪い馬鹿なのは分かるけど、冗談じゃないし〜」
「バッ!つ、つーかお前、今までそんなそぶり見せなかっただろーが」
「いやいやいや最初から俺、ネギさんの事気に入ってたよ。
レコード取られて馬鹿みたく怒ってさ、俺に騙されてみすみす俺の事逃すし、そんな相手に飯もちゃっかり奢らされてやんの」
「テメェッ」
「でも、ネギさん見てると飽きないんだよね」
妖しい光り放つ奴の目からして、マジだ!
ガチで俺を誘ってやがる
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