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*第16話* 俺の役割って、何

 久我は廊下の壁に寄り掛かりながら、ゆっくり顔を上げた。焦点の定まらない目がやけに艶っぽい。 「ボトルのキャップも開けて」 「甘えんなよ」  言いながらも仕方なくキャップを開けて、ボトルだけを久我に手渡した。ゴクゴク喉がなるほど一気に飲み、あふれた水が首筋を伝う。その光景は何だか目が離せなくて、玲旺は久我の隣に座ってじっと眺めていた。 「なに? 桐ケ谷も飲みたいの?」  視線に気づいた久我がニッと笑う。そのままにじり寄ると、耳元で囁いた。 「口移しで飲ませてやろうか?」  玲旺の顔が一瞬で熱くなる。からかいやがってと思いながら久我を睨んだ。目の前にある余裕ぶった久我の顔が、どんどん近づいてくる。チキンレースなら望むところだと睨み続けたら、そのまま覆い被るように唇を塞がれた。 「んん!」  突き飛ばそうとしたが、びくともしない。久我の大きな手が玲旺の耳の後ろに添えられて、顔を背けることも出来ずに一方的に貪られる。  ただただ、口の中を這う舌に翻弄された。息が出来ず、久我の襟元に縋り付く。  だけど苦しいのは肺じゃない。もっと奥の奥。 「も、ホント……なんなの。急にさぁ」  久我の力が少し緩んだ隙に、玲旺は身をひねるようにして上半身だけ逃げた。見れば余程強く握りしめていたようで、久我のスーツの襟元がしわになっている。  久我は荒い息のまま、片手で目を覆った。 「あーヤバイ。飲みすぎた」 「そうだよ、何やってんだよ。酔った勢いで」  玲旺は久我が酔いに任せた悪ふざけを悔いているのかと思い、呆れながら抗議する。今起きた出来事を思い返し、心臓を押さえた。ドクドクと脈打って痛い。けれど久我は首を横に振り、「違うよ」と、廊下に座り込んでいる玲旺を壁際に追い詰めた。 「飲みすぎちゃって、全然勃ない」  真顔の久我が何を言ってるのか一瞬理解できず、玲旺は一拍遅れて「は?」と聞き返した。 「何言ってんの? まだ冗談言うつもり?」 「冗談なんかじゃないよ。切実じゃん。だって」  こんなに興奮してるのに。  玲旺の耳元で熱い息を吐く。久我の手が玲旺の心臓の上に置かれた。鼓動の速さを知られるのが嫌で身をよじったが、久我の手はゆっくりと下へ移動する。へその下、玲旺の勃ち上がった部分を久我が撫でた。  既に充血しているそこは、久我からの刺激を受けて更に硬さを増す。 「ホラ、お前のはこんなになってんのに」 「こっ、これは生理現象!」  指摘されて初めて気づいた。動揺し過ぎて全身が熱くなっているので、どこがどうなっているのかもう自分でも把握しきれない。

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