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4時限目も終わり、皆が昼食を取ろうとそれぞれに動き出す。
2年B組、中央列一番後ろの席の俺は教室全体を一望できる。恵まれた席だと思う。
視界の右側、真ん中辺りの席にいつもより人が集まっている。そこは転校生、藏元の席だ。面食いどもは皆、藏元のお気に入りになるため我先にと声を掛けているのだろう。
……阿呆らしい。さっさと昼飯食べてしまおう。
そこから視線を反らして、鞄から弁当を取り出そうとしていた俺の机に影が落ちる。
「?」
「成崎、一緒にご飯食べてもいいかな」
「ぇ……」
「ぁ、駄目なら、大丈夫」
「ぁいや、うん……いいよ、俺は別に」
そこに立ってたのは藏元だった。
あの集団の中からよく脱出してきたな。皆がじとっとした目でこっちを見ているがそれは無視するとして、藏元が俺のところに来るとは思わなかった。
「よかった。ありがとう。まだ全然慣れなくて……昼休みに色々聞けると思うと待ち遠しくてさ」
「あぁ……確かに。ごめん、いくら昼休みにっつっても朝から一言も話さず放置って流石に心細いよな。」
「あはは、授業とかは隣の、中野くんが教えてくれたし、聞きたいことあれば俺から聞けばよかったんだけど……」
俺の責任にしないためかそんなことを言いながら、藏元は俺の席の前の空いた椅子を引き寄せて座った。
「…………そういえば、飯は?持ってきた?」
「うん。朝、売店見つけてそこで買ったよ」
「じゃあ今日はいいか。売店以外に食堂もあるけど、明日にでも行ってみる?」
「へぇー、食堂かぁ」
前もって買っててくれたことには感謝。混む時に行きたくないし。
ただ転校生だ。食堂があると聞けばどんなものか見たいだろう。紹介されてないなんて後でクレーム入れられるよりは明日にでも見せた方がいいだろう。……俺としてはわざわざ人混みに行きたくないのだけど。
「興味はあるけど、混んでそうだね……まぁ、気が向いたら、そのうちお願いしたいな」
「……ほぉ」
「ん?」
意外だ。ちょっとこれは、嬉しいぞ。なんだ藏元、お前分かってるな。
「……いや何でもない。……じゃあさっさと食べて校内彷徨こうか。」
「うろつ……はは、校内案内だろ?」
パンの袋を開けながら目尻を下げて笑う藏元に、俺も思わず口角が上がった。
ぁ、なんか……自然な奴だな。ちょっと残念だな、友達になれないなんて。
俺は弁当の唐揚げを箸で持ち上げた。
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