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「離れろよミヤ!!」
突然、大声で、そこに現れたのは生徒会室にいる筈の東舘さんだった。
「東舘、仕事終わったのか?」
「その手放せ!!俺のなりちゃんに触んな!!」
「ぇ、あの、ただふざけてただけ」
「なりちゃんは黙ってろ!」
えー?理不尽ー。つか、なんか東舘さんマジでキレてる?これはヤバイやつ?でもなんで?
「……あの、宮代さん、なんかよく分かんないんすけど、取り敢えず放してもらってもいいすか?」
「………………」
こっちは無言ですよ。ぇ、怖。
宮代さんの顔が、あんな優しかった微笑みが、真顔に変わってるっていうか、若干怒ってるっていうか……。しかも放してもらえないし。
あそーですか。どっちにしろ俺の意見は聞いてもらえないんですね。じゃあ平民黙りまーす。
「ミヤ、俺に喧嘩売ってんの?俺が腹立てるって、キレるって分かってやってるよね?」
「成崎は、俺の友達だ。俺が成崎と仲良くしようと俺の自由だろ」
「チッ……じゃあさっさと犯して俺の物にすれば気安く触んないよね?」
ゾワワッ
全身悪寒が走った。今東舘さん大分恐ろしいこと言ったよね?俺がノンケだって覚えてる?怖いよ!まじで、引く以上に怖いよ!!
そんな俺の恐怖を感じたのか、宮代さんは手を放して、そのまま俺を東舘さんから見えないように背後に隠した。
「成崎を傷付けたら、俺がお前を潰す」
宮代さんの、憤怒の声。地を這うような、空気を凍てつかせるような声に、俺は更に固まった。
何これ……なんでこんな恐ろしいことになってんの?ふたりの威圧に、最早俺が死にそうなんですけど。
酸素どこ?息できない!誰か助けてーー!!
「成崎くん」
「…………ぁ、」
そこへ間の抜けた声と共に顔を出したのは、女子顔負けの可愛い美少年。今の俺にとっては、状況とその子の見た目が相俟って天使にしか見えない。
「千田」
「大丈夫です会長、仕事終わったんで。成崎くんのこと、寮に送りますね」
「あぁ、頼む」
東舘さんの横を通り過ぎ、宮代さんの元までやって来ると千田は俺を東舘さんから隠すように部屋から連れ出してくれた。
ピシャリ
千田によって閉められた扉。中が、気にならないわけがない。
俺が振り返ると、隣にいる千田がふんわりと笑う。
「大丈夫、宮代会長は東舘副会長より強いから」
「……………………」
そういう問題じゃねぇえええ!!!
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