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「和喜~いいもの見つけたよ~」 100円拾ったよーみたいに言って、俺が逃げないようにその人は腕を掴んだまま東舘さんに笑いかけた。 「……………………」 「なりちゃん!!どうしたのぉ?」 窓際に座って飲料水を飲んでいた東舘さんは、ペットボトルから口を離して屈託のない笑みを向けてくる。 いつものテンションで、変わり無く話しかけてくるけど、東舘さんは半裸です。下は履いてるけどベルトをしていません。上は何も着ていません。 俺はノンケだし、男同士だからね、まっ平らな胸見ようが、意外と引き締まってる腹筋見ようが、何とも思いませんよ。 ただね、情事のあとな訳で、色々生々しいんだよ。回りの人たちも、東舘さんも、場所も。 「そこにいたんだよぉ、僕お手柄じゃない?」 「………………」 「……なりちゃん?」 「ねぇ和喜、丁度いいじゃん。手伝う?」 「お前は黙ってて?」 目のやり場に困って、俺は無言で明後日の方向を向く。その態度が気になったらしい東舘さんは、隣で喋り続ける男子生徒を牽制する。 「なりちゃん、なんでこっち見てくれないの?」 「…………」 「……ねぇ、和喜が聞いてんだけど」 「うるせぇ黙れって言っただろ」 東舘さんの言葉に今度こそ萎縮した男子生徒の力みが、掴まれた俺の腕を通じて伝わってくる。 「まぁまぁ。リョウも和喜を思って言ってくれてるんだし」 部屋のなかにいた他の生徒ふたりが擁護するように口を開いた。俺の腕を掴んでいるこの人は、“リョウ”というらしい。 「この場所にこの2年生が来たのもタイミングいいじゃん。」 「あー据え膳ってやつ?リョウが言った通り、僕らも手伝うよぉ?」 その会話で、何を言っているのか理解してしまった。体をビクつかせ隣のリョウさんを見た俺に、何とも優しい笑顔が返ってきた。 分かってます?皆さん自然な会話で自然に笑ってますけど、それ強姦宣言ですけど。しかも被害者になりそうな俺の前で相談しあうことじゃないんですけど。 恐怖と焦燥と困惑と嫌悪、俺がごちゃ混ぜになった感情を整理しようと視線をさ迷わせると、東舘さんは大きくため息を吐いた。 「分かってないなぁ……。俺以外がなりちゃんにそういうことするの、俺が許すと思う?ていうか、リョウ」 「……何?」 「いつまでなりちゃんの腕に掴まってんの?」 「……こ、これは、この子が逃げないように」 「さっさと離しなよ。で、お前ら全員出てって」 「……和喜、」 「それと、今後も、なりちゃんに何かしたら、君らのその自慢の顔滅茶苦茶にするからね」

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