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東舘さんのことが好きなんだろう3人から嫉妬の空気がビリビリ伝わってくる。 でも東舘さんから言われてしまえば、それに従うしかないんだろう。俺を睨みながらも3人は部屋を出ていった。 「……ごめんね、腕痛かった?」 「…………大丈夫っす……」 「もしかして、やってるときも廊下にいたの?」 「…………いえ………………」 「……じゃあなんで目、見てくれないの?」 俺の傍まで来て、顔を覗き込んでくる東舘さんから、更に視線を反らす。 でもこのまま首を捻って逃げ続ける事もできない。そもそも、俺の首が痛くなってきてる。選択の余地がない俺は、細々とした声を上げる。 「…………その……上、着てくれませんか」 「……ん?」 「シャツ……」 「………………」 全然言いたいことが伝わらない東舘さんに、端的に訴えることにする。顔が熱くなってくる。多分、今の俺は顔が赤いと思う。 「……か、……噛み跡とか、引っ掻き傷とか……色々目のやり場に困るんすよ!!」 「え……?それ?そんなこと?」 「そんなことって……!あの人たちとあんたの感覚がズレてんですよ!!」 「なんだー。全然目合わせてくれないからめっちゃ怒ってるのかと思ったー嫌われたのかなーって」 「……いいから、……さっさと着てください」 「これねぇ、なるべく跡残さないでとは言ってるんだけどねぇ、やっぱり噛み癖ある子は噛んじゃうし、力んじゃうと引っ掻かれるんだよね~」 「ちょっ、見せなくていいっすよ!!マジ、……東舘さん!!」 首や胸元、二の腕などを見える場所に持ってくる東舘さんに狼狽えるしかない俺。 さっきまで真面目そうな顔してたくせに、今はなんだか楽しそうな顔をしている。俺をからかって楽しんでる。は、腹立つ!! 「なんかさー……」 「なんすかっ……!!」 「その顔」 「はい……!?」 「その恥じらう顔」 「ぁ、あんたのせいだよ!恥ずかしいもん見せんなよ!」 「すっげぇ可愛いよ」 「……………………はい?」 俺、耳悪くなったのか……?耳鼻科行ってきた方がいい?それとも東舘さんの目が悪い?眼科行ってもらう? …………今この人、何て言った? 「なりちゃん、男には興味無いんじゃなかったの?」 「な、いよ……無いっすよ!ノンケっすよ!!」 「でも、男同士の跡でも、ドキドキしてるんだ?」 「!?…………ちが、」 「ふーん?」 東舘さんが、意味ありげに含み笑いしている。顔が、いつも以上に近い。 後ろに下がった俺は、真後ろが扉であることに気づいて逃げ道を見出だす。 「…………も、昼休み終わるんで……行きます」 「なりちゃん」 「?……──!!!!」 いきなりのことで、情報処理が追い付かない俺は脊髄反射で東舘さんを押し退けてそのまま部屋から飛び出した。 なななな、なぁ!?!? あの人どういう……!?はぁ!? 制服の袖で唇をゴシゴシと擦りながら、俺は空き教室から走って逃げ出した。

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