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「……とにかく、付き合ってないから」 「あっそう。まぁ楽しそうで何よりだよ~」 書き写しの作業を再開しつつ否定すれば、案外あっさりと引き下がって帰っていった。 「面白かったね」 「ちょっと焦ったけど……でもあれくらいなら大丈夫だろ」 最後の生徒名を書き終え、シャーペンを仕舞う。あとはこのプリントをズッキーに提出するだけだ。 「じゃあ俺、職員室に行ってくる」 「うん、いってらっしゃい」 教卓から離れて、教室から出ようとした俺は扉の外にいた生徒と目が合った。 2Bの生徒じゃない。教室に入ってこない。でも2Bには用があるらしく、そこから動かない。目が合ってしまったので、問うように首を傾げると視線とジェスチャーで藏元に用があると伝えられる。 あー……遂に、これは…… 「藏元ー」 「何?」 「んー」 振り返り、いつの間にか席に戻っていた藏元に顎で方向を示す。扉の外の生徒を見て、藏元は瞬きを1回した。 「……じゃあ、職員室行ってきまーす」 「うん……」 この空気を察した藏元は小さく頷き、席から立ち上がると待っている生徒のもとへ歩き出した。 *** 職員室に行くと、幸運なことにズッキーは席を外していた。鬱陶しい絡みを回避した俺はズッキーの机の上にプリントを置いて、何かの拍子に飛ばされないよう、何のキャラクターかよく分からないズッキーの机にあった置物を上に乗せてきた。 これで失くしても、言い掛かりは受け付けない。 階段を下り、廊下を進んで教室に戻った俺は藏元の机に未だ鞄があることに気付いた。 もう少しかかるだろうなあ…… 強気になって回りを気にしないと決めた藏元だけど、流石にこれには動揺してるんじゃないかな。 さて、待とうか行ってしまおうか。 自分の机まで来て考えていると、ひとりの生徒が入ってきた。2Bの生徒、綺麗顔の渡辺だった。盗み見れば、顔が赤い。 うわ面倒事の予感。捕まる前に逃げよう。 直感的にそう思った俺は鞄を肩にかけて早々に教室から出ようとする。 「!……成崎くん、」 「……ょ、よう渡辺ぇ」 捕まった。どうしてこうも、俺の目論見はあっさり崩されるんだろう。 「な、……成崎くんっ」 何かを我慢していたらしい渡辺は、俺を見るなりボロボロと、泣き出してしまった。 なになになに!?!?どういうこと!?俺にどうしろと!? 「ちょ、……渡辺!?どうした!?」 「成崎くーーんっ」 いやいや他に何か言ってよ!なんか俺が泣かせたみたいに見えるじゃん! 溢れる涙を止められないのか、何度も何度も目元を袖で擦る渡辺を見てられず、俺はハンカチを渡して背中を摩った。 はぁ……いいよ、分かりましたよ。やりますよ。みんなの相談窓口、成崎相談所受け付け開始しまーす。

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