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マジで?それは……うーん……どうなんだろう。手放しで喜べないな……だって髙橋って……
「だから……その、……本当に付き合っていいのか……分かんなくて……」
「だよね……てか、さっき勘違いしてたって言ってたけど……?」
「うん……凄く親しくしてくれるから……両思いなんじゃないかなって……でも、……そう思ってたんだけど、……うぅ…………別に付き合ってた人がいたんだよぉお」
それと同時にまた泣き出す渡辺。恋心は揺れに揺れる。
俺は渡辺の言葉に大きく肩を落とした。
やっぱりね。そうだと思ったよ。髙橋が絡むと絶対そうなるんだよ。あいつコミュニケーションお化けだから。どんな奴にもゼロ距離だから。しかも、運動部特有のスキンシップが凄いから。誤解して、ひとりで盛り上がっちゃう人多いんだよね。
「……でもさ、付き合ってる人がいるのに、渡辺と付き合うの?」
「その人と別れるから、付き合ってみる?って言われて……」
……そしてあいつは、関係も軽い。
友達の延長線上で恋人にするから、別れるときもあっさりしてる。早い時なんて1ヶ月で別れることもある。そんなの、あいつの顔とキャラで許されているようなもので、俺だったら人間的に疑いたくもなるけど……。
知ってても、惚れる奴は惚れるんだな……。
「で、渡辺は?髙橋のこと、好きは好きなんだよね?」
「うん……大好き。付き合いたいよ」
…………結論出てるじゃん。
が、しかし、早まるな俺。
ここで面倒くさくなって、じゃあ付き合えば?なんて勢いで言ってみろ。
「この真剣な気持ち、ノンケの君には分からないだろ」「男同士だからって馬鹿にしてるだろ」「人の恋愛を話のネタ程度で面白おかしく聞いてんじゃねぇよ」等々、罵倒されるのは目に見えてる。
恋する彼らの逆鱗に触れてはいけない。
俺はただの相談員。勝手に結論付けるなんてのはタブーだ。
「じゃあ渡辺は、どうしたい?」
「……俺は……やっぱり、……付き合って……髙橋くんを振り向かせたい。勘違いで終わりたくないよ」
「そっか」
「……頑張る」
「んー、いいと思うよ」
「うん、……ありがとう成崎くん」
「俺は何もしてないけど」
「ううん、聞いてもらえるだけで救われたよ。本当ありがとう」
真っ赤な目を隠すようにお辞儀した渡辺は、席を立つとパタパタと駆けていった。
「ココア飲みたい…………」
どっと疲れが押し寄せてきた俺は、糖分の要求を誰に言うでもなく呟いた。
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