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71 過去4
「なりちゃんの寮の部屋は同室者いるの?」
「そのあだ名やめてくれません?」
「ちゅーしていいならやめるよ」
「どうぞ自由に呼んでください」
「俺キス上手いよ?絶対気持ちいいって思わせてあげられるのに。」
「結構です」
「試してみない?」
「そんなお試し求めてないです」
「お試しなんて、なりちゃんだから言ってるのにー」
「………………」
頭のネジが外れすぎてる。これは多分、修理不可能なやつだ。イケメンに自慢発言されるとイラっとするけど、この変人の場合はちょっと可哀想になる。
「で、同室者、いるの?」
「何でそんなこと聞くんすか?東舘さんには関係ないですよね」
「……もう1回」
「……はい?」
「俺のこと、もう1回呼んで?」
「………………東、…………なんで?」
「もぉーーっ!!焦らすなよぉ!呼んでよなりちゃん!!」
「ぅ、うるさいっすよ!東舘さんっ……!」
「ふふっ……さん呼び、新鮮。可愛い」
こ、怖い。突然大声で喚き出す。お菓子買って貰えない子供か!って勢いだった。心臓に悪い。俺全然、この人のこと読めない。誰か助けて。
「……同室者いないなら、」
「?」
「夜這いしよっかなって」
「いるいるいる!!同室者、いますから!マジ何考えてんのあんた!?犯罪だからね!?どこの星から来たの!?言葉の通じる星に帰ってくれます!?」
「あははは焦ってるぅ!」
青ざめた俺を指差して、東舘さんは布団をバシバシと叩いて大笑いしてる。
くそっ……!何なんだこの人っ……!からかってんじゃねぇぞド変態っ!!
「他人の部屋情報で遊ばないでくださいよ……!!」
「でもさぁ」
「あ?」
「同室者とそういう関係になったら、許さないからね」
「…………は……?」
ゲラゲラ笑ってた笑顔は突如消え、冷淡な態度に変わる。
そういう関係……て?つーかまず、許さないって何?なんであんたに俺の行動が制限されなきゃならないの?
「…………あんたこそ、友達いるんすか?」
「えー?」
「回りの人とちゃんとコミュニケーションとれてるんすか?意味分かんないって、そのノリやめてって、言われないんすか?」
「…………」
いくらこの学校が変わってても、俺よりは学校に馴染めてる人でも、この人は変だって感じる人はいる筈だ。親しい人、誰か、この人に教えてやってくれよ。
「…………だからなりちゃんがいいんだよ」
「……はい?」
ボソリと、東舘さんは何かを呟いた。耳障りなくらいの大声出したり、聞き取れないくらいの小声だったり、普段この人の相手をする人は大変だろうな。
「ううん。俺は楽しくやってるからいいの」
「あーそーすか」
微笑む東舘さんには何を言っても勝てそうになくて、雑な返事で諦めた。
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