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殷、周、新、漢、三国、晋、南北朝、隋、唐、五代、宋、元、明、清、中華民国、中華人民共和国ぅ……♪
と、脳内で暗記のための替え歌を再生する。
何故か。
それは今、世界史のテストを受けているから。そして俺は三國志がそれなりに好きだから。ヨーロッパのフランス革命時代とか、そこら辺も好きだけど……。
歴史上の人物の裏話を知ると忽ちに物語として読めて、説明書きじみた文章だけでは覚えられないものが頭に入ってくるから、小説を読んでるようで楽しくなるんだ。
例えば曹丕 。文武両道で政治に長けた人だったけど、性格はめっちゃ神経質でひねくれてたとか……。親のいざこざや兄弟との覇権争いがめっちゃあって魏の皇帝になったのは30歳過ぎ。その時代じゃ結構な歳なんだよ。そして数年後に風邪拗らせて肺炎で亡くなっちゃったとか……ん?呪いって話もあるんだっけ?
まぁ、とにかく。三國志だったら戦で名を上げて、みたいなイメージあるのに……偉人だけど英雄話だけじゃないよーって歴史背景が面白いんだよね。
……てな感じで自分の世界に入り込んでるけど、実は今回の世界史のテスト、三國志は範囲外なんだよね。じゃあなんで余計なことを考えているのか。それは至極単純なことで……。
Give up. Game over.
つまり、これ以上考えたって分かりませんって、手を上げて降参している状態だったから。
完全に、終了時刻待ちの時間潰し。
そしてついに、待ちわびたチャイムが鳴った。
落胆と歓喜の声が漏れる中、テストが回収されていく。俺も両腕を頭上に上げて大きく背筋を伸ばしてから、筆記用具を仕舞う。
今日は3科目のテストを受けたら即下校。
ということで教室に何の未練もない俺は鞄を持ってさっさと帰ろうと席を立つ。その時偶々聞こえてきた生徒たちの会話。
「ねぇねぇ昨日見たよ!」
「何を?」
「生徒会長様!!」
ん?……宮代さん?
「嘘っ!?じゃああの噂って……!!」
「本当だったよ!夕方、スーパーに降臨なさってた!!」
降臨って……あの人も人間だよ。そりゃいるだろうよ。いくらアイドル様だからって食品調達まで珍しがらないでよ。
どれだけ外見が光輝いていても人間だからね、光合成はしてないと思うよ…………多分。……え?間違ってないよね?人にも地球にも優しい人種なの??
「夕方でしょ?今日もいるかな?」
「行ってみる?」
おいおいおいやめなさい。そこは追っかけ禁止区域じゃない?……そもそもそんな区域は定められてないけどさ。今テキトーに思い付いた言葉だけどさ。要はTPOってことだよ。
「生徒会長様って料理もできるんだねー!」
「ほんと、完璧すぎっ!」
……ド下手だよ。でも分かるよ。そういうイメージだよね。俺も少し前までそうだったよ。
「フランス料理のフルコース、とか作ってそう!!」
「フランベ!フランベやってそう!」
今のレベルじゃ絶対無理だよ。フランベやったら、火災報知器作動させて騒動起こして終わりだよ。
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