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うちの学校は近隣の街から隔離するように造られている。
大きな門と壁で隔てて、そのなかも草木を植え込み、視覚的効果から街があるという感覚を薄くさせていた。
だから、学校を出て最寄り駅から帰路を辿っていくと、案外都会だったんだなと感じる。電車に揺られて街から離れていく景色を、車窓から眺める。ビル郡が見えなくなり、ショッピングモール等の大型施設も見えなくなり、住宅街も見えなくなり、そのうち木々や草原の緑だけが暫く続く。
学校にいたら校内の草木に囲まれて、外に出たらこの田舎風景。どこに行っても似たようなものだよな……。
まぁ長閑 な風景は好きだからいいけどさ。
同じ車両にいた乗客も徐々に下車していって、半分くらいの人になったころ俺の目的の駅に漸く着いた。改札を抜けて駅を出ると、小さい頃から知っている景色が目の前に広がる。
小型スーパーや商店街がある、娯楽よりは生活を重視した町並み。
この景色は、嫌いじゃないんだけどなぁ……
息を吐いて、腕時計を見たとき、駆け足で近づいてきた人が間髪いれずに腕を伸ばしてきたかと思うと、思い切り抱き締められた。
「!?」
「おかえりーっ!久しぶりだなぁ!」
……初っぱなからうるせぇなぁ……
「……あのさ……これもし人違いだったらヤバイからね」
俺の背中に回した手でバンバンと背中を叩いてくる男、……父さんに静かに突っ込む。
「優を見間違えるなんてないから大丈夫だよ!俺の可愛い可愛い一人息子よっ!」
「スゴイジシンデスネ」
「背伸びたんじゃないか!?ん?顔も凛々しくなったな!待て、痩せたか?ちゃんとごはん食べてるのか?」
「たった半年でそんな変わんないよ。てか、暑いよ離れてよ」
今何月だと思ってんの。しかも駅前だよ。再会を喜ぶにしてもハグ長すぎるよ。
「あーごめんごめんっ」
体を離して、漸くにこにこ笑ってる父さんの顔を見た。
「別に迎えに来なくてもよかったのに。バスあるんだし」
「俺が来たかったんだよいいだろー?」
「どーも」
「よーし、車に乗れー。母さんも料理作って待ってる」
歩き出した父さんの後ろを歩く。
父さんの車の助手席に乗って、走り出して少しの沈黙があった。
こんな妙な間があれば、なんとなく、嫌な質問されるだろうなとは思ってた。
「優、彼女はできたか?」
ほらね。
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