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すぅ、と肺に酸素を送り込んで、震えを必死に堪えて、思い付く言葉をそのまま素直に口にする。
「俺はっ……藏元を大切にしたい。笑っててほしい。……友だちとして、ずっとそう思ってた。…………でも、やっぱり嫌だ」
「……嫌?」
「藏元が髙橋と付き合うとか、俺を避けるとか…………嫌だ」
自覚するほど、顔が熱い。向き合っている藏元に見られたくなくて、隠すために俯く。
やっぱり告白って、準備が大切なのかも……。この場の雰囲気に飲まれてパニック起こして滑稽な事言いそうで怖い。
「……でもね、成崎…………俺は成崎のこと、もうただの友だちとは思えなくて……」
「ちがっ……だ、だからっ」
俺の言いたいことは、藏元に全然伝わっていない。もどかしい。俺は友だちのままがいいって言ってるんじゃないんだ。
……やっぱりあの二文字は避けられない、必要不可欠な言葉か……。
「今さらだし……自覚するのが遅かった俺が悪いんだけど……その……」
あぁちくしょー。昼飯食べとくんだった。エネルギーが、全然足りない。
それなのに俺の心臓は、俺の残り僅かの体力を過剰消費するかのようにどんどん心拍数を上げていく。
「……俺……藏元のことが、……す、…………好き、です……」
「…………」
「…………」
「…………」
何だよこの間…………ふ、振り絞ったのに……まさか聞こえてない?……ぇ、そんなことある?声小さすぎた?もっ回とか無理だよ!?
「…………成崎」
「……はい」
「……あの、」
「…………」
「もう1回いい?」
「な゛っ!?」
予想的中の一言に絶望して顔を上げれば、藏元の表情は予想と違った。
藏元は整った顔面を真っ赤にしていたんだ。
「…………は?」
「……いや、……ちょっとその……俺の聞き違いとかだったら、都合良すぎる耳で……めっちゃ恥ずかしいじゃん」
「…………」
口元を手で覆って照れる藏元。
……くそ可愛いんですけど。はぁ?何だよそれ。そうやれば誰でも聞き入れるとでも思ってんのか?俺はそうはいかないからな!
なんたって俺は、もうそんな体力残してない!
「……成崎……?」
「……無理。」
「ぇ……」
「無理」
「……あの」
「無理!もう無理!限界!!」
「え?えっ??」
突然拒絶を叫び出した俺に、藏元は当然焦る。何が無理かって?告白の話じゃない。俺の体の話だ。
「腹減った!!」
「……え?」
「膝痛い!!」
「!?怪我してたの!?」
「ぁ駄目だ倒れる」
「!?ちょっ……!?」
完全にバッテリー切れした俺は、慌てて腕を伸ばす藏元を最後に視界に入れ、そのまま卒倒した。
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