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「…………ふ…………れ、」 「…………」 「………………ぃ、いやいやいやいやっ!ちょっと待て!ど、どどどど、な、っ、触れるってなんだ!?いやいやそもそもお前は今髙橋と付き合っているわけでっ」 「あっ、ちょ、落ち着いて成崎!変な意味じゃないよっ!!」 俺が枕を振り回して暴れるから、藏元は身を守るために腕でガードしながら、必死に訴えてきた。 「成崎に触れないって前に約束したからっ、日常生活における範囲でって意味だから!……つい数時間前に怖い思いした成崎に、何かするわけないだろ……?」 「…………」 「それと……髙橋とは付き合ってないよ」 「は?」 「今も髙橋とは友だちの関係だから」 ……でも髙橋は藏元に告白したんだよな?髙橋はまだ、藏元のこと好きなんじゃ……? 「断ったよ」 「!」 表情に出てたらしく、藏元は答えるように呟いた。 「髙橋の気持ちには応えられないって、断った……。髙橋は、それでも友だちでいてほしいって言ってくれたけど」 「でも……よく一緒にい」 「友だちだから。俺はそれ以上の感情は髙橋にはないよ」 藏元がそう思っていても、髙橋が完全に諦めたとは限らないだろ。……つーか、無理だろ。 枕を戻して視線をさ迷わせた俺を、藏元は真っ直ぐに見つめてきた。 「好奇心なんかじゃない。俺にとって、成崎がそれなんだ」 「それ……?」 「…………同性とか関係なく……成崎だけが、特別なんだ」 「っ……!?」 こ、こいつなんでこんなこと言えるんだよ!?恋愛スペック高過ぎて、普通の言葉で返すのが恥ずかしい!!ていっても思い付く言葉なんて高が知れてるから、せいぜいオノマトペ程度なんですけど!? 「…………」 「……成崎……?」 悔しい。悔しい……けど、俺も今ちょっと……藏元に触れたいと思っちゃってる。王子様モード怖ぇわ。 「……た、」 「?」 「助けてくれた時も……ここに運んでくれた時も……俺に触れてるじゃん」 自分でも分かってる。それは不可抗力だ。だけど……俺から、“許す。我に触れてもよいぞ” みたいな偉そうな意味合いのことは絶対言えなくて……。 約束のことはもう特に気にしてないことを遠回しにどうにか伝えてみる。 「それは……ごめん。確かにそうだね……」 「!!?」 素直かっ!そこは理不尽だってツッコんでいいところだよっ!何サラッと受け入れてんだよ! 直球で受け止めて反省する藏元は頭頂部が見えるほど顔を下げている。 …………ど、どうする?こういう場合って、どうするのが正解なの?ファンタジーの世界に逃げすぎてて、現実の対処法が分からないっ!誰か教えて!! ……いや、それでも、告白したからには俺から何かしらの行動を起こさないと……。分からないじゃ終われない。 俺は恐る恐る、みっともなく震える手を藏元に伸ばした。

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