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告白?去年の夏祭りはそんなイベントあったけど今年はそんなの無かった気が……公衆の面前で誰かしたのか? 話題にされるほど目立ったんだろうな……。 「……夏祭りの告白って、素敵だね」 「おい。秘密はどうした」 「ごめん、惚気た」 「……」 何笑ってんだ。こっちまでつられ……じゃない。平常心。平常心。 「でも、……亀卦川様って…………」 「?……誰?“様”ってことは、そういう人?」 「うん。そうなんだけど……」 その名前を聞くと、ちょっと落ち着かないな。 「成崎……?」 「……あ。それはそうと……やっぱ気になるんだけどさ、」 「うん?」 今はなるべく避けるべき名前なんだろうけど、やっぱり気掛かりだ。 「東舘さんのほう、大丈夫……なんだよね?」 「……」 あ。眉間に皺寄った。ごめん。そんな聞きたくなかったか。 「ごめん。……でもやっぱ……千田のこと心配で……」 「うん。……でも俺たちも何の計画もなしに成崎を助けに行ったわけじゃないよ」 ごみ置き場から離れ、人気の少ない小道を歩く。 「千田くんが、全部任せて欲しいって。こんな時のために色々考えてた事もあるからって」 「……こんな時……とは?」 「千田くんは、仲裁にも何度か入ったことあるって言ってたけど……?」 「……」 千田の登場で何度助けられたことか……何度癒されたことか……!……じゃあ、あれらを経て色々考えていたと……? 「強く言われたことは、成崎を絶対に戻らせないで、てこと」 「……」 「……ごめんね。俺あの時は、千田を信じることしか出来なかった……」 「それはそうするしかなかっただろうし……多分、正しいよ」 ……でも、手のつけられそうにない状態の東舘さんを千田は一体どうしたんだ?力じゃまず勝てないだろうし。話は聞いてもらえそうになかったし。 「優」 「はい」 不意に呼ばれた名前に振り返れば、男前が立っていた。 「宮し、……継さっ……ん?」 あれちょっと待て。今超ナチュラルに名前呼ばれたからあぁそうだった名前で呼び会うって話になってたんだーとか思ったけど……あれってふたりの時はって話じゃありませんでした?今この場には藏元がいるんですけど? ぁ、でも既に継さんが口滑らせてるから藏元は知っているわけで……じゃあ俺はどうすればいいの?んーと、えー…… 「どうしたんすか、宮代 継さん」 「……」 「……」 ……まさかのフルネーム。何処かの待合室かよ。受付かよ。 「……間違えました。えっと、……今のは」 「優、今少しいいか?」 「?」 継さんは左手を俺に伸ばしてきた。継さんと手を繋ぐことに慣れすぎていた俺は、特に考えもせずその手を取ろうとしてしまった。 「大丈、ぶ」 伸ばした俺の手は遮られ、藏元が俺の前に一歩踏み出た。 「……藏元?」 「……」 「……成る程。今回は完全に敵視してるわけか」 「え?」 ……敵視? 「……あっ、藏元、大丈夫だから!継さんは危なくないっていうか、……つーか、東舘さんが異常なだけで」 「優、そういう事じゃないよ」 「……ん?」 「そういう警戒心は大事だよな。優は実は隙だらけだから、その分もな」 「……俺今馬鹿にされました?」 「けど、こっちも急ぎなんだ。邪魔しないでくれるか」 「……あの」 「どのくらいですか」 「……そうだな。……今夜は帰せないかも」 「えぇ!?そんなかかる話すか!?」 ぉ、俺そんなヤバイことしたっけ!? 「……」 「……なんて。冗談だよ。だからそんな怒るなよ」 ……な、なんでそんな冗談言ったんだ継さん……珍しいな。 フッと小さく笑った継さん。俺はよく分からず視線を藏元に移せば、その目つきにビビってしまった。笑み、の要素はまるでなくて、無表情で、ただ瞳にだけ怒りを込めて、継さんを睨み付けていた。 「なるべく早く帰すし、寮まで送る」 「ぇ?……ぁ、いや、送りはいらな」 「絶対に、成崎をひとりにしないでください」 「言われるまでもないな」 「……」 藏元は俺の怪我を心配して……。継さんは過保護っぽいところあるし……。俺ってそんなにそそっかしいのか……? 「優」 「……はい……」 ちょっと凹みつつ継さんの隣に行く。 「成崎」 「ん」 「何かあったらすぐ連絡して」 「?……おぅ」 真剣に告げてきた藏元は、俺が継さんと遠ざかっていく間暫く、その場から動かなかった。

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