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冷蔵庫にある食材を使って簡単な昼食を作っていたところで、玄関のチャイムが鳴った。 「おまたせっ!さっきぶり!」 「はいはい。どーぞ」 汗を洗い流して、爽やかに現れた髙橋は俺の部屋に上がりながら手土産を渡してきた。 「ほいっ」 「?何これ?」 「アイスの差し入れ~昼飯ご馳走になるし!昼飯のあとに食べようぜっ!」 「へぇ……ありがと。でもごめん、手土産貰うほど大したもの作ってないけど……」 「嘘つけよ!めっちゃいい匂いするじゃん!」 「はは」 髙橋を座るよう促し、作っていた料理に味の仕上げをして皿に盛り付ける。 「どーぞ」 髙橋が座る目の前のテーブルに皿と箸を置く。 「うおぉっ!焼きうどん!旨そう!いただきますっ」 「お召し上がりください」 手間のかからない料理なのに、満面の笑みで喜んだ髙橋を見てこっちも嬉しくなってしまう。どんな料理でも、喜んでもらえるって……やっぱちょっと嬉しい。 「……んー!うまいっ!」 「……そ。よかった。」 ガツガツ食べ進めるその様子は、イメージ通りの体育会系。そんな髙橋とは対照的に、俺は病人みたいにゆっくり食べる。 だって夏バテ気味なんだ。ちゃんとサボらず食べているんだからペースくらいは許してくれ。 「……はぁ!なんかいいなっ」 「……何が?」 「夏休みに、友達の部屋でご飯って……!」 とても幸せそうな髙橋は、俺が感じる以上の、何か特別な感覚でもあるんだろうか。 「??……そう、なの……?」 「あとはぁ……夏休みの課題の追い込みとかもやってみたい」 「……それは定番にしちゃ駄目だろ。計画的にやれよ」 「えっ」 「え?」 「成崎もう課題終わってんの!?」 ……その反応、分かりやすすぎる。先が見えすぎる。 「…………」 「…………」 「…………」 「教え」 「やだ」 「あはは!最後まで言わせろよぉ!」 「自分の課題は終わらせる目的だから正解じゃなくてもいいやって思ってるけど、他人の課題を間違い前提で終わらせるわけにはいかないだろ」 「……ん?どういうこと?」 「……まぁとにかく。人に教えるほど頭は良くないってこと」 「……」 髙橋には悪いけど、課題までは見てやれない。そもそもそんな頭がない。 「俺もさぁ……教えてほしいんだけどさぁ……頼めないんだよなぁ」 「?」 うどんを箸で持ち上げながら髙橋の話を聞く。 「やっぱ意識しちゃうんだよなぁ。藏元のこと」 「…………」 しくじったぁ…………いや、しくじったってことはないんだけど、この話題でその名前が出るのか。もうちょっと警戒しておくべきだったな。 「勉強会のときもめっちゃ教え方うまくて分かりやすかったんだけどさ」 「……へぇ」 「今は気持ちが違うし……集中できなそう。あはは」 「そう……」 多分藏元は、髙橋に頼まれたら教えてあげるんだろうけど…… 「ふたりきりになったら緊張すると思う。……いやする!絶対する!で喋れない!」 「……はは……」 ふたりきり……。俺との事を秘密にするとは言ったものの、告白してきた髙橋と、藏元はふたりきりになるだろうか?……ん?……あれ?俺……ふたりきりになること……嫌に思ってる? いやいや!藏元は髙橋の告白をちゃんと断ったわけでっ……! 「……はぁ」 「??どした?」 「俺ってほんと性格悪いなって……」 「え?……成崎が?そんなわけないじゃん」 「……ありがと髙橋」 お世辞でも嬉しいよ……。 一旦落ち着こうと、ガラスコップに入った麦茶を飲んだとき、髙橋は少し恥ずかしそうな面持ちで口を開いた。 「……あのさ……俺、……今さらなんだけど……最近ちゃんと知ったんだ」 「……何を?」 「男同士の……やり方」 「ブフゥウウーーーッ!!!!」 盛大に噴いた。

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