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「成崎くんはスポーツ得意なの?」 「……え」 「だってほら。凄い人たちから一緒にやりたいって言われてるわけだし」 「……あの……」 癒し系イケメンさんは悪気は全くないんだろうけど……。俺のどこをどう見たらスポーツ得意そうに見えるんだよ。スポーツはなるべく避けたいし、やりたいって思われてるんじゃなくてからかわれてるだけだし、何より残暑のあるこの晴天の日に動くなんて何かの罰ゲームですか?って気分だよ。 彼らからすればそれは最高のスポーツ日和なんだろうけど。 「……体力ないんだよね……俺」 「ぁ、そうなんだ?」 「だから……えー……体力作り?」 「えー!じゃああの方々は成崎くんを手伝って?凄い!とっても優しいねっ!!」 「…………」 どう転んでも“無理矢理俺を外に引き摺り出してきた”なんて発想には至らずアイドル様は結局アイドル様なのだ。 崇拝者だった癒し系イケメンさんに愛想笑いで返し、視線を周囲に向ける。 視線を向けた先、控え選手が座るベンチにはちゃんと屋根があって、陰ったそこはもうすでに涼しそう。 無意識に体がベンチ側を向いた時、集まり始めていた観衆から大歓声が上がった。なんだ?と疑問にすら思わない。だって今日この試合に参加するメンバーでまだここにいない人なんて分かりきっているから。 スポーツブランドの広告モデル?今日は新作発表イベントか何かですか? グラウンドに現れた生徒会長様と副会長様は、スタイリッシュにジャージを着こなして、談笑しながら観衆のなかを歩んでくる。……眩しい。 「眩しいねっ」 「……ハハ」 あんたが言うな。癒し系イケメンさんが言うと凡人に対する嫌味にしか聞こえねぇよ。 「おはよぉー」 ゆらゆらと手を振って近付いてきた東舘さんは参加メンバーを見渡してから微笑んだ。 「勝とうね、俺と同じチームになる人たち」 語尾にハートがつきそうな言い方で集まった人たちを威圧した。 みんな可哀想……ぁ、俺はどっちに入っても両チームが可哀想。 「成崎、お早う」 「ちわっす、宮代さん」 近くに来た宮代さんに小さくお辞儀する。あぁ……神々しい。俺の存在浄化されて消えてない?大丈夫? 「もう疲れてる顔してるな?まだ試合始まってないぞ」 「メンタル面で大敗してます」 「何だよそれ」 「あー宮代さん笑わないで。眩しいから」 「は?」 片手で日除けを作って眩しいですポーズをすると、また笑われ頭をワシャワシャと撫でられた。 「ところで、成崎」 「はい」 「東舘と藏元が懸ける賞品って何だ?」 「………………」 聞いてないのね。……でも俺の口から言うのもなんか……大分恥ずかしいというか、愚かというか…… 「じゃあみんな揃ったし!」 俺が宮代さんに何と返答しようか困っていると、髙橋の元気な声が響いた。 「チーム分けするから、みんな、二人一組になってくれ!」 このチーム分けの原因である東舘さんと藏元は睨み会いながら傍に寄った。空気が……試合というより決闘。このふたり、今から殺し合いでもする気なのか……? 呑気に人の事を気にしていた俺は、自分の状況が分かっていなかった。 「えっとぉ……みんな?」 髙橋の探るような声に、俺もその視線の先を見た。

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