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イケメンたちが、顔を見合わせ、コソコソと何かを話しては、首を横に振っている。 「……久道くん」 「なんだ?」 控え目に挙手して発言したのは、またもや癒し系イケメンさん。 「……成崎くんとは、誰が組めばいいのかな?」 「?誰でもいいよ?」 「…………」 イケメンたちは残らず全員戸惑いの顔をしている。 ……だよね。俺と組んだら、俺をどっちかのチームに押し付ける役割を担っちゃうんだから。じゃんけんに勝っても負けても、どっちかのチームから下手くそを寄越しやがって、と恨まれるんだから。俺だって俺なんかいらないもん。 「……ぉ、お前組めよ」 「やだよっもし俺が副会長様と同じチームになっちゃったら、副会長様に殺される……」 「藏元くんの無言の圧が怖いんだけど……」 「成崎くんのチーム決めの相手って……俺には荷が重すぎる……」 コソコソとイケメンたちは小会議を執り行っている。そして、俺抜きで始まったじゃんけん大会。 ……あからさまにハブられた?いくら邪魔で役に立たないからってそんな目に見える態度でハブります? 「よーっし!お前だ!頼んだぞ!」 俺が遠くからじゃんけん大会を見つめていると、決着が着いたらしい。 イケメン集団の輪の中から独り、これまたイケメンが弾き出された。 「……っす、」 ……す? 申し訳なさそうにペコペコしながら近付いてきたイケメン……なんて名付けようかな。 「1年、水谷 朝陽(みずたに あさひ)っす。すいません。俺になりました。よろしくお願いします」 名付ける前に名乗られた。しかも腰低いし礼儀正しいし……俺的好感度は上々だ。 「ぁ……2年、成崎 優です。……えっと、なりました、とは……?」 「成崎先輩とじゃんけんすることになりました」 「…………」 そうか。俺と組まされる運悪いやつを決めてたのか。そしてこの1年生が生け贄か……可哀想に。 「本当すいません」 「えっあ、え、なんで先輩が謝るんですか」 「俺が参加するせいで君が面倒なことに……ほんと申し訳ない」 頭を下げれば、水谷くんは止めてくださいとオロオロする。 「成崎先輩っ、頭上げてくださいっ。俺は大丈夫ですから。むしろ俺なんかですいません」 「…………」 顔を上げ水谷くんの言葉に、水谷くんに、見惚れる。 なんていい子なんだ。イケメンの体育会系は威張る奴も多いからちょっと苦手意識もあったのに……例のサッカー部二人組、とか。 「ちょっとぉ。なりちゃんに頭下げさせてんじゃねぇよー」 「成崎、何かあったの?」 「チーム決めで何か問題か?」 東舘さん、藏元、宮代さんが俺と水谷くんのもとへ集まってきた。3人の存在感に圧倒されてか、水谷くんは苦い顔で後退しようとした。 「あっ!ちょっと皆さん!!」 俺は水谷くんの手を取って、3人に向き直った。 「この御方めっちゃいい人なんすけど!巻き込むのやめませんっ!?」 「!!?あっ、ちょ、成崎先輩っ」 「俺ベンチでいいんで!観客やってるんで!むしろそれが俺の望み!だからどうかこの御方の負担を減らして上げてください!」 「……ベンチ?あはは、なりちゃんそれはないねー」 「……うん。それは却下」 「……そしたら俺も帰る」 「………………」 なかなか上手くいかねぇな。

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