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「成崎」
「……ぉ、王子様発言は、控えなさいって話だよ」
視線を反らして、起き上がろうとするが、真上には藏元がいて状況は変わらない。
「王子様でもいいけど、今は彼氏だよ」
「っあ、あの、ね、ごめん、さっきの我が儘が原因なら謝るから怒らないで」
「怒ってないよ。むしろ楽しいよ」
「!?んぅ─」
両頬を手で押さえられ正面を向かされると、そのまま唇を塞がれた。
「んっ……クラ……ぅふ……ぁ、ま、……ん゛っ」
ちゅ ちゅぷ ちゅちゅ
「んン……藏元っ……ま、」
「……もうちょっと、……ちゅ……頑張って?」
「んんっ……ぁ……ンうぅ……!!」
くちゅ ちゅる ちゅ じゅ
まずいってぇ……!今俺筋肉痛の名残で疲れてるのは事実だし、ほら……色々の諸々のあれがその……疲れてるとほらぁ……!!
「んぅ……」
「なんだろうね……気怠そうな成崎、凄く色っぽい」
「何……馬鹿にしてんのかよ……!」
「そうじゃくて……困ったなって話」
「は……?んっ……ちょ、ぅ……ま、て……ん、待って!!」
まだある筋肉痛を庇いながら藏元の肩を押し返した。思ったほど離れてないけど。
「…………嫌……だった?」
「……そ、そうじゃ……なくて……」
「……ごめん」
そうじゃなくてぇえっ……お前のキスでっ……た、た、勃っちゃったんだよぉおっ……恥ずかしすぎて泣きたい。どうしようっ……藏元は世界の終わりみたいな顔してこっち見ないし……。
「……こういうの……慣れて、ないから……心臓もたないんだよ……」
「…………嫌じゃない?」
「…………ん。」
「……」
「だから、もう少しゆっくり」
「それは、可愛い成崎が悪いよ」
突然の責任転嫁!!
藏元は再び麦茶を飲むと、突然俺の両手首を掴んで押さえ込んできた。
「ぃ゛ででっ!おいっまだ筋肉痛がっ」
見下ろしてくる藏元は、にっこりと、Sっ気たっぷりの笑顔を向けてきた。さっきの、世界の終わり顔はどこへやら。
ゆっくりと口付けをされ、俺はそれを受け入れるしかない。
「んンぅ……!ひっ」
冷たっ!!
藏元の口の中から冷たい塊が移動してきた。
それは小さめの氷で、藏元と俺が舌を絡める度に口のなかをカチカチと移動しては、溶けた冷水が唾液と一緒に口角から漏れた。
その冷水は重力に従い頬や喉を伝って落ちていく。
その感覚は、今の俺の体には非常にまずい感覚で……。
ちゅぷちゅぷ ちゅく ちゅう
「んっ……ふっ……ぁ、ン」
「ふぅ……氷、好きなの?」
「はあ……?」
「気持ち良さそうだなって思って」
「……の、喉乾いてたし」
「クスッ……そっか。じゃあもう一個食べてみよっか?」
「!っも、も、いいっ!」
「なんで?好きならいいじゃん」
その顔やめろぉおぉっ!!藏元に楽しむ余裕があっても、俺にはもう無理っ!!体がもう無理って言ってるから!!
麦茶を飲み直す藏元から逃げようと体を捻ってしまった俺は、そこで大失態を犯した。
「んっ!」
「…………」
藏元の太股に、主張するそこを一瞬ぶつけてしまった。両手で口を覆って、目をギュッと閉じる。
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