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恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。絶対気づかれた。誤魔化しようがない。
「……成崎、手、退けて?」
「……ゃ……」
「成崎、氷溶けちゃうから」
そんなん知らん。いらないって言ったし。
「成崎」
「……」
「キスさせろよ」
「!んんっ」
手首を掴まれ、力業で引き剥がされるとソファーに縫い付けられ、噛み付くように塞がれた口腔に先程より大きな氷が入ってきた。
「んぅ゛うっ……んぁ……はっう……!」
「んっ……可愛い……ン」
「うっ、……ぁふ……苦し……あぅ……!」
「氷、噛んで」
「……んぅ」
言われるがまま、ガリガリと噛み砕く。唇を舐めてきた藏元の舌も少し冷たくなってた。
「口、開けて?」
「……」
それは無理だって。口の中、水と氷でいっぱいだし……ぁ、飲めばいいのか。
遅い思考ながら解決策を見出し飲み込もうとしたら、藏元が唇を噛んできた。
「飲むなよ」
「っ……」
の、飲むなって……どういうこと?これじゃ口なんか開けられない……
綺麗な目が、至近距離で俺を支配していく。
「口、そのまま開けて?」
「……」
「成崎……ほら」
「……」
藏元の視線に、体が操られていく。ゆっくりと、少しずつ、唇を開いていく。冷水が、噛み砕いた氷の欠片が、口から溢れていく。
カッコ悪……恥ずかしい。これ唾液も含まれてるでしょ。好きな人の前でなんでこんな……
「ぅ……んふ……」
ちゅ ちゅぷ
「綺麗だね……成崎」
馬鹿じゃん。こんな姿、誰が……
溢れた水をキスで拭い藏元はそのまま首筋へとキスを落としていく。冷たく濡れたその感触に、体がビクついた。首筋も、耳も、鎖骨も、藏元の唇が触れる度に跳ねた。
キス……してただけなのに。疲れてたせいって、思ったのに。
「……っ」
……藏元に、触れてほしい。
「……成崎」
「……恥ずかしい……無理」
「?成さ」
「無理。もうやだ。情けない。カッコ悪い」
押さえられたままの手では隠せなくて、顔を横に反らして目を瞑る。
「藏元、みたいに……」
「……何?」
「……余裕なんか……持てない……」
「……余裕……ね」
喉を鳴らした藏元は、耳たぶをやんわりと噛んできた。
「っ……何……」
「余裕ある人は、ずっと優しいリードだろうし、がっつきもしないと思うけど」
「……?」
「俺も大概、ビビってるし」
「……??」
「……成崎、俺のこと、好き?」
「!」
なななな、何を突然っ……!?
「……ぉ……おぉ」
「ちゃんと、恋人として?」
「っ……じゃ、なきゃっ……キスなんかしないっ……!」
「……じゃあ、してくれる?」
「!!!?」
真上で、超美形が、瞼を閉じて固まった。神々しい。
…………。
「…………」
「…………」
「…………」
チュッ
「……」
「……」
「……」
ぅ、動かない。これは、その、……触れるだけでは駄目だと言うことだろうか。
俺は再度顔を近づけて、綺麗な形の唇を唇でなぞり、舌先をゆっくりその中へ侵入させる。
「……」
「……ん……」
ちゅ ちゅく ぷちゅ ちゅ
「……ふっ……上手いね、成崎」
「……っさい」
「嬉しい」
「……」
「……そのまま続けて?」
「……」
緩やかに解放された両手で藏元の頬を包み、唇を重ねる。ぶっちゃけ、無我夢中というか、自分が思ってた以上に藏元とのキスにがっついてたと思う。
「んふ……ん……」
「んっ……」
鼻から抜ける浅い呼吸だけが耳に届いて、頭がぼーっとし出したその時、全身がビクンと跳ねた。
「はっ……ちょ、とまっ」
「キス、そのまま」
「んっん、藏も、んん、ぅ」
藏元の手は俺のスウェットとトランクスをずり下ろして、反応しまくりの性器を扱き出した。キスしながら、僅かな羞恥のための抵抗はしてみるけど、もう、疑いようがない。
堪らなく気持ちいい。
「んぅ、ふ……」
「……っ……成崎っ……ん゛っん」
「はあ……藏、元っ……」
瞼をうっすらと開け、珍しく眉間に皺を寄せ快感に身を任せる藏元を盗み見る。
……あー……この違和感って、もしかして……
下に手を伸ばして、そこに触れる。
「っ!」
「……んっ、ン……俺だけ、かと……ン思ってた」
「っ……俺だって男だよ……」
藏元の熱い性器が、俺の性器と一緒に扱かれていた。
「んくっあぁっ」
「っ……ん……」
ぐちゅじゅ じゅぐじゅ
水音が、徐々に大きくなっていく。羞恥心が、理性が、失われていく。藏元の手に俺の手も被せて、ただ快感を求めた。
「もっ、……あっア……!」
「……成崎っ──!」
藏元は俺の肩に顔を埋めて、俺は片手で藏元の肩にしがみついて、体躯を震わせる。
快感の名残で何度か体が跳ねた。腹の上が生暖かいのは出したものが飛び散ったからなんだろうけど……今はそんなことどうだっていい。そう思うくらい、気持ちよかったし、疲れた。
「…………藏元」
「……ん」
俺の肩に埋めていた顔をほんの僅か上げ、藏元は色気の残る目を向けてきた。
「…………その……風呂…………使う……?」
「…………」
「………………あの……」
「…………今日、まだ一緒にいていい?」
「…………ん」
イチャイチャって、こういうことか……?
視線の行き場に困って、ただ天井を見上げた。
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