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「すみませんすみませんすみませんっ!!失礼は謝罪します!二度とご迷惑をお掛けしないよう大人しくしています!!貴方様に近づかないよう努めて参ります!!ですからどうかお許しくださいっ!!」 そしてあわよくばその手を離して解放してくださいっ!! 「許しを乞うなら隠している事全て話せ。それが唯一、俺が納得する謝罪の形だ」 「……」 そこは頑として譲ってくれない塚本様は、廊下を進みながら思い出したように付け足した。 「あぁそれと、その呼び方も気に食わねぇ」 「……では、……何とお呼びすれば……?」 「……ふん、そうだな……少し考えるから待て」 「はい……」 ……ん?ぇ、いやいやいや!!違うだろ!呼び方とか決めたら、さも俺がこれからもこの御方と会うみたいになるじゃん!!呼び方なんて決めなくていいよ! ……と、風紀委員長様にも臆せずちゃんと言える俺ならよかったんだけど。 「……さて。」 ニヤリと笑った風紀委員長様は、ひとつの扉の前で止まった。俺の顔が青ざめたことを確認して、更に楽しげに笑った風紀委員長様は扉に手を掛けて囁いてきた。 「耐えられるか?成崎優」 「……」 「いい顔だ。楽しくなるなぁ?」 頭と胃と心臓が痛い。物理攻撃より精神攻撃のほうがよっぽど堪える。俺が後退しようとしても風紀委員長様はそれを許さず、その扉をお構いなしに開けた。 「……塚本」 「よぉ」 「何の用だ」 「仕事だよ、宮代」 風紀委員長様の後ろに隠れてひたすらに逃げようと、腕を引き抜こうとする俺には全く手こずることなく平然と会話は進む。 「文化祭の準備で忙しいんだ。お前の趣味に構ってられない。勝手にやってろ」 趣味!?趣味って言った宮代さん!?やっぱこの御方、罰則を、拷問を、趣味でやる人なの!? 「くくっ、あぁ。俺は勝手にやるが、今回はここが追い込み場所としてはちょうどいいと思ってな」 「……塚本。生徒会室で好き勝手できると思ってるのか」 「いいや?ただ、宮代、この場所以外でするとして、今回、俺に好き勝手させていいのか?」 「何が言いたい」 険悪な声色の宮代さんに、風紀委員長様は更にご機嫌が良いご様子。後ろで必死に抵抗していた俺を軽々と引っ張りだし晒した。 「成崎っ……!?」 「なりちゃん!?」 「成崎くんっ!?」 「成崎ぃ!?」 まさかの、生徒会メンバー、皆様いらっしゃいました。勢揃いぃ顔面偏差値すげぇえぇ。眩しいぃい。 「……何の真似だ、塚本」 「仕事だって言ってるだろ、宮代」 「てめっ……!なりちゃんに触ってんじゃねぇっ!」 「安心しろ。お前ほど腐った思考は持ち合わせてない」 「つ、つ、塚っ……!?」 「……よぉ。元気か?髙橋久道」 生徒会メンバー全員から好意的とは言えない視線を向けられる風紀委員長様は、それすらも楽しそう。この人に、人間の感情というものはあるんだろうか? 「何をした?」 「……ぇ……」 「塚本に罰せられるようなこと、お前はしたのか?」 「……」 宮代さんの目が、珍しく怖い。これは怒られてる?それとも責められてる? 「……くくっはははっ。ここでも黙るのか成崎優。」 どんどん機嫌が良くなる風紀委員長様が気に食わないのか、宮代さんが俺を真剣に見据える。 「成崎、何があった?」 「……」 「……なら、俺が事の経緯を説明しようか。先程トイ」 「なんでもないですからっ!!!!」 俺が声を荒らげて拒絶することが、風紀委員長様の望みのひとつ。 嫌がっている、乱されている。 それが蓄積されればいずれ口を割るだろう。 それが風紀委員長様の狙い。思惑通り乱されていると分かっている。分かっているけど、どうしたらいいのか分からない。

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