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「お話ししますとは言いましたが、大々的にお話しできることでもないので、可能であれば別部屋でお話ししたいです」 「……奥の部屋を使うなら、俺も同席させてもらう」 風紀委員長様とふたりきりは絶対に嫌だ。だからどうか宮代さんも来てくださいっ! その裏の意味が通じたのか、宮代さんが申し出てくれた。 「話すなら、別にどこでもいい」 先程までの言動とは打って変わって、あっさりと宮代さんの同席を認めた風紀委員長様。本当にただただ宮代さんを苛つかせたかっただけだったのか? 「俺はパァス!塚本と密室とかゲロ吐きそう。おぇ」 「幼稚なお前がいないと俺も疲れずに済む」 ……東舘さんとのやり取りは変わらずだ。というか東舘さんが変わらずだ。赤い舌を出してあっかんべーする辺り、純粋というか幼稚というか……。 「それと、もうひとつだけお願いがあります」 「なんだ」 「ひとり、どうしても、今現在の事情を説明するか、もしくはここに呼ぶか、してもいいでしょうか」 幾度となく心配をかけさせているんだ。過去から学んで、ちゃんと直していこう。 「……聞いていいか、成崎優」 「はい」 「全ての要望を聞いて貰えるほど、お前の立場は上にあるとでも思っているのか?」 俺が場所や人を希望する事が癪に障ったらしい。掴まれたままの腕にまた痛みが走った。 「……上なんて思ってないです。……けど、」 「ぁ?」 「そいつを蚊帳の外にしたまま、話を進める気は一切ないです」 「……要望を聞かなければ黙秘を続ける、そう言いたいのか?」 「はい」 あんたは自分自身の立場と権利が特別だって分かっていて、それを踏まえて色々行使しているんだろうけど、俺にとっての特別はあんたじゃない。そこだけは譲らない。 「……宮代、お前は?」 「あいつこそ、聞くべきだと思う」 宮代さんっ……! 「……分かった。だが、必ず、全て隠さず話せ。それが条件だ」 「…………はい」 滅茶苦茶、とんでもなく、相当、嫌々だけど頷くしかなかった。 「ミヤー。俺出掛けてもいー?こんな空気じゃ仕事なんかもう無理ー」 「……あぁ、そうだな。あとは明日にしよう。髙橋も千田も、もう解散していいぞ」 背伸びして風紀委員長様を一瞥した東舘さんはさっさと生徒会室を出ていった。 髙橋も、千田に付き添われて出ていった。 ……髙橋がこの場を去ったのは不幸中の幸いだ。ただでさえ今からする話は藏元と髙橋と俺が絡む話だ。髙橋には色々酷な話になる。 「……で、誰だ。そのひとりって」 「……2年B組、藏元 玲麻です」

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