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でもなんでウィ◯ッドなんだ?文化祭でやるロマンス劇なら、もっとメジャーなロ◯オとジュ◯エットとか、シ◯デレラとか……誰もが認知している定番もあるだろうに……いや、そこ掘り下げるのはやめよう。 下手に聞いたら、墓穴を掘ることになるかもしれない。 「成崎くん、大丈夫だよ!そんな不安そうな顔しないで?主人公は肌が緑色でしょ?でも実際の着色は大変そうだから仮面をつけてもらう予定なんだ!だから素顔で舞台には立たないから安心して?」 それは救いだが、なら別に俺でなくても…… 「成崎」 全然気が乗らない。俺なんかが主役って、どう考えてもおかしいだろ。 受け入れられず眉間に皺を寄せていると前の席から爽やかに呼ばれた名前。 「一緒に、頑張ろうね」 「っ……」 さ、爽やかぁ…… なんで。どうしてだよ。俺と同じくらい藏元だって忙しい筈なのに、どうしてこの子は、こんなに余裕があるわけ?体力の違い?そもそもの思考の違い? 「成崎くんたった一言で照れすぎぃ」 「て、照れてなんか…………ん?待った。相手役がいるってことは……つまり、俺って、」 「何?」 「……女装……?」 「?うん」 うん、じゃねぇえええっ!とんでもないこと隠してたよこの人たち!!女装するなら尚更俺じゃないでしょ!?文化祭で俺に何やらせようとしてんだよ!! 「因みに、美人の友だちでライバル役は渡辺くんがやってくれることになったよ!」 「……あぁ、それは納得。似合いそう」 渡辺なら、綺麗だし、女装も似合うんだろうな。 「でも主役は、似合いすぎても駄目なんだよぉ」 …………あははー。 そう呟いてきたクラスメイトはハッとして言葉を付け加えてきた。 「……あっ、そ、そうじゃなくて、普通くらいがこの役には」 「いいよ。本当のことだし」 「本当に、そういう意味じゃなくてっ」 俺みたいな素材じゃ渡辺が女装するレベルには到底到達できない。それは誰に言われるまでもない、自分自身が一番分かってる。 「俺は可愛いと思うけど。」 「……」 「……キャ」 「キャーー!」 変なとこで張り合ってくんなよ藏元ぉおっ!! 一応男子であるクラスメイトたちが、どこから出したのか、男とは思えない甲高い声を上げた。 「何々!?もうそういうこともやってみたの!?」 「僕らが思ってた以上にふたりって」 「ストップストップ!!やーめーろーっ!!何もしてないから!!この話もう終われぇ!!」 「おいおいお前ら。寄ってたかって成崎をいじるんじゃねぇよー」 俺が狼狽していると、珍しくズッキーが助け船を出してくれた。ズッキーは大きくため息を吐くと、腕を組んでニヤリと笑った。 「ふたりの好きなようにイチャイチャさせてやれよ。注目されてると、成崎はずっと恋する小学生だから」 助け船どころか、敵船だった。 「誰が小学生だっ!」 「ん?もう手は繋いだのか?」 「うるさい!!あんたに言う必要あんのかよ!?」 「そりゃあ当然あるだろ。俺はずっとお前らふたりを応援してたからな!」 「おぅ、え……っの、黙ってろ駄目教師ぃっ!!!」 俺の絶叫と共に、HR終了のチャイムが鳴った。

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