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藏元も食べ終え、食器を片付け終えて一旦ソファーに座り直した俺たちは、この後どうするかを話し合う。
「藏元は、部屋には多分……つか絶対、戻れないだろ?」
「ちょっと難しいかも……」
藏元は控えめに言うけど、100%無理だろうな。ここに連行される形で来たんだ。部屋に戻ったらまたここに追い返されるに決まってる。
あいつら、思ってる以上に強引だからな……
「まぁこっちに泊まるのは問題ないから、いいけど」
「ごめんね、お世話になります」
「謝るなって。どうする?もう風呂入る?」
「うーん……成崎は?」
「俺はもう入ったから。あとは歯磨きするだけ」
「…………じゃあ、成崎の話を聞いてからお風呂借りるね」
「話の後でいいの?」
うん、と微笑みながらゆっくりと首を縦に振った藏元。
「……じゃあ、……えっと、」
「うん」
「…………俺が話したいのは……東舘さんのこと」
「…………うん……」
予想はしてたけど、藏元の表情が曇った。
「ほら、藏元も気にしてただろ?東舘さんの、1年の頃のこと」
「ほんの少しね」
気にはなってたけど、そこまでじゃなかったらしい……。じゃあ俺自分から地雷踏みに行ったの?馬鹿だなー。
「……ぁえー……宮代さんから聞いた話なんだけど……」
「うん」
なんだか微妙な空気ではあるけれど、切り出してしまった話題をここでやめるわけにもいかず俺は宮代さんから聞いた話をそのまま藏元に報告することにした。
*****
「…………」
宮代さんから聞いたすべてを伝え終えた今、当然と言うべきか、藏元もスッキリしない顔をしていた。
「……でさ……色々考えたんだけど、やっぱりこのままじゃ良くない気がして……」
「その当時は、副会長、辛かったんだろうなって凄く同情するよ」
「?うん……」
「でも、だからって、成崎に同じように無理強いしていい理由にはならないよ」
「……」
宮代さんと似たようなこと言うんだな……
「このままじゃ良くないって、どうするつもりなの?」
「……解決するかは別として、……東舘さんとちゃんと話したい。俺あの人に初めて会ったときから拒絶するばっかりだったから。本当は何を考えてるのか、少しは考えるべきだったのかもって思って……」
「……」
東舘さんを理解するなんて、多分無理だ。
だけど、話を聞くくらいしていれば、千田と歪んだ関係にならなくてよかったんじゃないかって思えて仕方ないんだ。
「……成崎が考えてることはわかったよ。……でも、成崎が副会長に会いに行くなんて、俺は危ないとしか思えないんだけど」
「……ん。……だから、藏元に話した」
「!」
“相談しろ”
藏元に心配かけたくないなら、それが一番大切だって教えてもらったんだ。
「……藏元は、どうするべきだと思う?」
「…………」
俺をじっと見つめる藏元はそのあとフッと笑ってソファーから立ち上がった。
「少し考えさせて」
「ぁ……うん……」
「お風呂、借りるね」
「おぅ」
背を向けて歩きだした藏元は、脱衣所に通じるドアの前で止まって振り返ると、嬉しそうに微笑んできた。
「成崎、ありがとう」
「??」
意味深な感謝の言葉を述べた藏元は、ポカンとする俺を放置して脱衣所に消えた。
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