「成崎……ほんとストップ」 「……俺に触られるの……嫌？」 もし本当に嫌なら、やめたほうがいいよな…… 「っ……逆、だよ……耐えられないから」 「じゃあいい、じゃん…………俺も、藏元に触れたいし……」 「っ……なんでそういうこと今言うかな……」 瞳を閉じて顔を反らした藏元は、ふぅーっとゆっくり息を吐いて肩の力を抜いた。 一応、触れることへの許しが出たっぽい…… 「…………」 「……ﾝｯ……」 下から上にゆっくりとなぞり上げれば藏元が微かに声を漏らす。手の甲で撫で下ろし、指先でなぞり上げる。ゆっくりとその動作を繰り返しながら、藏元の反応を伺う。 少し熱っぽい呼吸はしているけど、まだ荒れてはいない。指先から伝わってくる熱に、少し悩む。 これ以上をして、嫌がられないだろうか？ 「…………ﾌｩーｯ……成崎」 「！………………」 藏元の熱を帯びた視線が突然向けられ、そのまま落ちてきたキスを受ける。触れてきた唇は、先程よりも確実に熱かった。 ……どうか、萎えませんように…… ベルトのバックルに手をかければ、藏元は少しだけ目を見開いて、けれども阻止はしてこなかった。情けなくも緊張して震える手でベルトを外していく。 「…………」 「……怖い？」 「怖くはない……けど……」 俺の震える手を見て、藏元は優しく頭を撫でてきた。 ……俺を気遣うくらいに、まだ余裕？ ファスナーを下ろし、今度は下着越しに触れてみる。 「は、ぁ……」 「！」 布一枚を隔てて擦れば、藏元の艶やかな声が漏れて俺の心臓が跳ねた。 えっろ……！！？ 布越しでも分かる、手のなかで脈打つそれ。撫でる度に硬くなっていく。眉を寄せ、快感に流されまいと耐えている藏元が、堪らなく愛おしい。 ……気持ちよく……してあげたい…… 指先を下着のなかに滑らせ、直に触れれば、俺の腰に添えられていた手に力が籠った。根本から先端まで、時々少しだけ強く刺激しながら扱き、快感を煽る。 「っん……ぅ……！」 きちゅ　じゅ　ちゅ　ぐちゅ 水音が徐々に増していく。クールで爽やかな王子様の顔が、官能的で色っぽいものになっていく。苦しそうな息をする度に上下する喉仏は超がつくほど濃艶。 あーやばい……イってほしい……。 「……イけそう……？」 「っ……」 手は止めないまま藏元を見上げると、辛そうに小さくコクコクと頷いた藏元。 「イ、く……！」 「ん」 「！？成崎、……手っ」 「……ははっ」 「！！！？？───くぁっ………………！！」 いつぞやの仕返し……というわけでもないが、俺も藏元の精液を掌で受け止めた。 …………藏元のだと、汚いと思わないのは、何故…………？全然不快じゃない。 「……ハァー……ハァ……っごめん、俺手に……」 「……ん。大丈夫。……ただ、床に少し落ち」 「成崎、」 「ん？んぅっ」 手で受け止めきれなかった精液が床に落ちてしまったとポケットからティッシュを取り出そうとしたら、全ての行動を阻むように強引にキスされた。 「っん……ぁ……んﾝ……は、ぁ……何っ……！？」 「好き」 「っ……」 艶やかな声で囁かれ、……腰にきた。 「…………手、拭こうか」 甘い笑みを浮かべた藏元はポケットからティッシュを取り出すと、俺の手を拭いて、それ以外も拭き終えた。 「…………ありが」 「おいで」 「！？」 腰に回された手が、そのまま俺をどこかへ連行する。 「？？ちょ、うぇ？？おっ」 連れてこられたのは、本棚と本棚の間に設置されている一人掛け用の椅子。そこに座らせられると、藏元は座った俺の前に屈んで見上げてくる。 「俺もいいよね？」 「……ん？」 「耐えられないって、言ったよね？」 「……ぁ……」 手を伸ばしてきた藏元は、俺の頬を撫でるとね？と微笑んだ。それでもまだはっきりしない俺の手を取って、手の甲にキスをした。 「！？」 「最後まではしないから」 「…………」 「……いい？」 「……………………………………ん……」 爆発しそうな羞恥を圧し殺して、振り絞って小さな返事をしたら、嬉しそうに笑った藏元にどう反応していいのか分からなくなった。