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藏元は俺の太股に手を置き、その長い指が内腿を撫でてきた。くすぐったいような、ゾワゾワした感覚が背中に走った。
恥ずかしい話、正直さっきの藏元の色気と声に当てられて現状半勃ち状態の俺なので、少しの刺激でもまずいんだよな…………変な声出さないよう頑張って耐えなければ……。
俺がそんな決意をしているなか、藏元の手は主張しはじめていたそこにゆっくりと滑ってきた。スラックスの上から形を確かめるように指先でなぞられ、ビクンと肩を揺らして大きく反応してしまった。
「……少し……勃ってるね」
「っ……わざわざ言わなくていい」
「ごめん、嬉しくて」
「??っ……!」
人差し指と中指で挟むようにして撫で上げられ、思わず声が出そうになって咄嗟に唇を噛んだ。
「……声、我慢しなくていいよ」
「……」
首を左右に振って拒絶する。藏元はどんな反応をしても凄く色っぽかったけど、それを見てしまったからなのか、余計に俺が俺を気持ち悪く思えてしまって、極力醜態は晒したくなかった。
「……我慢は、成崎の性格、癖なんだろうね」
「……ン……っ」
「……いいよ、分かった。成崎は我慢してて」
……何が分かった??
「俺は俺で、絶対声聴かせてもらうから」
!!?なんか変なところでやる気出したよ!?何故!?
擦る手の動きを早めて、もう片方の手で内腿を撫でられる。ゾクゾクした感覚が、ひっきりなしに背筋を駆け上がってくる。
爪を立てて肘掛けにしがみつく俺を、藏元は超ドSな笑顔で見上げてくる。
「ーーっ!!」
「……流石成崎……我慢強いね」
「っ……馬鹿に、してんだろっ…………!」
「ううん。そこがまた可愛いなって」
「はぁ??ぅ……!!」
耐えることに精一杯だった俺は、いとも簡単にベルトを外され、下着越しに性器を掴まれた。
「……成崎、」
「!!見んなぁっ……!」
グレーのボクサーパンツの一部が先走りで濡れて染みを作っていて、羞恥と罪悪感から逃れたい一心で藏元に泣き言を叫ぶ。
「これ以上下着汚したら、寮に帰るの大変だよね」
「っだから、もうやめ、っ!!!?」
焦る俺の言葉は完全スルーされ、ずるりとパンツを剥がされ露になる完勃ち寸前の性器。
ちょ、ちょ、これはっ……!!この体勢は羞恥もそうだけど、罪悪感が凄いんだけど!!居心地の悪さで萎えそうな勢い!!!
「くら、藏元っ」
「何?」
「は、離れてっ!せめて立って!」
「なんで?」
「な、んでっ……て……!!?」
だだだって、俺は今座ってて、その前に藏元が屈んでて、そうなると文字通り藏元の目の前に俺のものを晒しちゃってるわけでっ……
「ほんと、可愛いね成崎」
「は……?──んひっ!!!?」
一瞬、目の前の光景が衝撃的過ぎて、何が起こったか分からなかった。でもその強烈な快感は脳が理解する間も無く襲ってきて、身体で直接理解する。
藏元が、俺の性器を口に含んだ、と。
「やっ、やだ……藏も、んうぅう!!ふぅっ、ん゛ぃい……!!?」
下腹部に埋まるさらさらの髪に両手を潜り込ませ、どうにか引き離そうとするも快感が強すぎて力が入らない。
じゅ じゅる ちゅ くちゅ ちゅく
水音が強まる度、それは俺が原因で、それを藏元が口に含んでいると思えば思うほど中心に熱が集まって更に収まりがつかなくなる。
「あっあぁ……はぁっむり、藏元ぉ……んぁああ……!!」
「ふぁ……いけほう?……んむ」
「!?むりっむりっ!これじゃぜったいむりっ!!」
イけそうかと聞いておいて咥え直す藏元に、全力で首を左右に振る。
イけそうか、なら答えはイエス。とんでもなく気持ちいいから。
だが、この状況でイけそうか、なら答えはノー。藏元の口腔になど、出せる筈がない。
「あぁやぁっ……んンっはな、してぇ……!!」
藏元の熱い舌が尿道を苛めてきて、根本から先端までを強く吸われて、出したいけど出せるわけないという葛藤のなかでもう声なんか気にしていられなかった。
熱に浮かされた声、息。気持ちよすぎて止まらない体の震え。自分でもよく分からないけど、涙が溢れてきていた。
ちゅ ちゅる じゅ
「ん゛んンっだっ、えぇ゛……イっちゃ……ひぅぅ……!!」
藏元から逃げようと腰を引いても、太股を掴まれてまたズルリと引き戻される。
「ぁっん、ばかっ藏元の馬鹿っ!このっドSっ!ンやあっ」
体力も我慢も精神力も、何もかも限界。ここまで抵抗して止めてくれないのならもう嫌でも分かってくる。
藏元は、イくまで逃がしてくれない。口腔でイかなきゃ終わらない。
でも、そんなことして、あとで本当に嫌われない?藏元に嫌われたら、どうしよう。怖い。幻滅されたら、……
「!!んあぁあっやめっそこ、だっめぇ……も、イ……んぁあ───!!」
俺の恐怖なんてお構いなしに責め続けてくる藏元に、もう抵抗できる力なんて残ってなかった。全身を痙攣させて藏元の口腔に射精してしまった。
「ハァー……ハァー……ハァー……んっ……」
「…………」
絶頂の余韻でまだ僅かに震える腰を、長い指が優しく撫でてくる。涙で歪む視界から、藏元を見ると、艶かしく濡れた唇が弧を描いていた。その唇に自分の指先を添えて紅い舌を出すと、舌の上にあった白濁を指で絡め取った。
「ごめ……ごめんなさいっ……」
「?」
「俺、口に……ごめんなさ」
「…………」
ゴクン
「!!!?」
まだ口のなかに残っていたであろうものを、あろうことか、藏元は喉仏を上下させて飲み込んでしまった。罪悪感で止まらない涙を流しながら愕然と藏元を見つめていれば、いつも通りの優しい笑顔で囁かれた。
「可愛かったよ」
「っ……」
「無理させて、ごめんね。疲れた?」
「ぇ……ごめんは俺……いや……あの……気持ち……よかった、です……」
「!……嬉しいです」
謝らなければならないのは俺の方なのに、藏元はいつも通り優しくて紳士的で、文句も何も言えなくなってしまった。
ぉ、怒ってない?嫌われてない?むしろ機嫌いい?つーか今、飲ん…………いやいやいやいや!どういうこと!?何からどう処理していけばいいの!?
この恥ずかしい状況どうしようかと困惑していたら、藏元が内腿にキスしてきた。
「ぇな……!?」
「もう少しだけ……頑張って?」
「!??」
先程口から出した白濁を指に絡めて、藏元は指先を下に滑らせてきた。
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