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「───っにしてんだお前ぇえ!!!盗み聞きか!?隠れてるとかずりぃぞ!!いるならいるって言えよ卑怯だぞ!!!」 「えーー?理不尽だなぁ……偶々今着いたところだよ。盗み聞きって、成崎が勝手に可愛いこと言ってただけじゃん……」 「かっ、わいい言うな!!!」 「それにしても……クスッ……朝から嬉しいサプライズだなぁ」 「サプライズじゃない!!こいつらに嵌められたんだ!!」 爽やかに甘さを上乗せした笑顔で呟く藏元に、多分真っ赤になっているであろう俺は全力で否定する。 「俺は聞けて嬉しかったけど、皆、なんで成崎にそんなこと言わせてたの?噂って何のこと?」 どうやら最初から聞いていたわけではないらしい…… クラスメイトたちから事情を聞き、藏元は机に鞄を置いて笑った。 「成崎が遊びでね……。面白い噂だね」 「え……面白い……か……?」 遊ばれてると思われてる悪い噂なのに、面白いと思える部分が分からないのだが。 「うん。だって、このクラスにいれば成崎がそんな人じゃないってすぐ分かると思うし」 「……そう、なの?」 「うん。ね?皆」 俺自身がいまいちピンと来なくて藏元に聞けば、藏元はクラスメイトたちを見渡して同意を求めた。すると、クラスメイトたちがケラケラクスクスと笑い出した。 「成崎くん、普段は大人しいっていうか控えめなのに、藏元くんにはそうじゃないから」 「ほんと楽しそうだからね。あれが嘘には思えないよ」 「ていうか、成崎が恋愛に余裕あるやつ、とは思えねぇよな」 「遊ぶっつーよりむしろ、俺なんかがぁ、とか言ってそう!」 「それ!自信無いほうが似合うわぁ!」 バレバレ…… 「……いやじゃあなんで俺に噂のこと聞いたんだよ!!噂は所詮噂だって分かってたんじゃんか!!」 「そりゃ分かるよー。あれだけ毎日見せつけられちゃうとさぁ」 「“ふたりの世界”を見たことある人はもう疑わないって」 「でもなんか……面白かったから」 「はぁ!?」 「ふたりがふたりだけでイチャイチャしてるのは見てたけどさ、そのお裾分け?が欲しかったんだよねー」 意味が分からない!イチャイチャのお裾分けってなんだ!?こいつらはさっきから何を言っているんだ!!?藏元もなんで微笑んでるだけなんだよ!! 「まぁ僕ら2Bは皆疑わないけど、このクラス以外からはどう見えてるか分からないからね。たまには誰にでも分かるような愛情表現した方がいいよ?成崎くん」 ニヤニヤしながらアドバイスしてきたクラスメイトの一言。口調も表情もふざけてて俺をからかってるだけだったんだろうけど、俺にはそのアドバイスが深く納得できた。 ここでは分かってくれる人ばかりでも、他所はそうじゃない。だから、俺が、少しずつでも、変わっていかないと…… 「そ、そっすね…………皆さん……ありがとうございます」 「??」 「頑張ります……頑張ってみます……」 「成崎くん???」 「え?え?何を?」 「どういうこと?」 藏元も含めた全員が首を傾げるなか、チャイムが鳴った。

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