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第34話
晩御飯も食べ終わり、食器をシンクに持って行くと俺が今持っている食器以外は全て綺麗に洗ってあった
見た目も美しくて長身で優しくて家事も出来る男朔夜先輩、完璧過ぎる男だ……同性なのにここまで違うとちょっと凹む
『片付けもありがとう。ご馳走さまでした』
「お腹はいっぱいになった?まぁ座りなよ」
まるで自分の家かのように言う
言われるまま俺は先輩の隣に腰を下ろしくつろぐ体勢をとった
「そうそう、はいこれ」
するといきなり封筒を渡された
『何これ?』
中を見てみると、1万円札が1、2……10枚!??
『ちょっ!!これは何!?』
慌てて先輩に封筒を突っ返す
「この間お金盗られたんでしょ?取り返しといたから」
『いやいやいやいや俺こんな沢山盗られてないから!ってか取り返したって何!?』
「あー上乗せさせたからじゃない?慰謝料ってやつだよ」
俺には先輩が何を言ってるのかわからなかった
取り返した??慰謝料??
「俺この間用事があって学校休んだでしょ?憂から聞いた日から手当たり次第に悪そうな人達にタトゥーの奴らの事聞いててねー、手にタトゥーなんかあんまり居ないから意外と直ぐ見つかってさ」
『ちょっと待って、話がわからない』
「憂がカツアゲされたコンビニの近くにまたいたみたいだから行ってみてさ、見つけたから取り敢えず脅しといたよ」
『……マジ?』
「だからこれは憂のだよ。受け取って」
また封筒を渡された
や、このお金普通に恐いんだけど
『いや、これは本当に受け取れないって。え、本気で言ってる?』
「うん」
マジか……
カツアゲ犯を捜し出した上に脅して慰謝料までふんだくる……俺は今先輩の方が恐い。ってか普通そこまでやるか?人違いだったらどうするんだよ。それに….…
『朔夜先輩は大丈夫なの?どっか怪我とか……』
「俺は大丈夫だよ。強いから」
先輩が自信家なのは知ってる。だけどこんな俺の為に危ない事はして欲しくない
「受け取って」
断ってもまた無理矢理渡されそうだ
『わかった。取り敢えず盗られた分だけ貰うよ……残りは先輩が持ってて』
「いらない」
『いや、本当に受け取れないって。……俺は受け取れません。先輩が持っていて下さい、お願いします』
「……わかったよ。わかったからそんな言葉遣いやめてよ。ね?」
そう言って先輩は残りのお金を受け取ってくれた
『でも、取り返してくれてありがとう』
「どう致しまして」
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