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第36話
朝起きると隣のシングル布団で寝ていたはずの先輩はいなくなってて、部屋中に食欲がそそる良い匂いが漂っていた。それに何かを焼いてるような音が聞こえる
どうやら先輩が朝食を作ってくれてるみたいだ
ぼーっとしながら携帯を見てみると、金曜日が今日だという事に気がついた。最近の俺は曜日感覚が狂っている
来週の金曜日……だとちょっと遅いか。今週の土曜はバイト休みだったはずだから出かけるのは今日の方が都合がいい
取り敢えずコタツ布団を四つ折りに畳みキッチンへ向かった
『おはよう』
「あ、おはよう。ちょっと待っててねーもうすぐ焼けるから」
『先輩マジ主婦過ぎ』
「そう?」
まさか朝飯までしてくれるとは思いもしなかった
『さっき気づいたんだけど金曜日って今日だから今日の晩飯は俺がご馳走するよ。予定空いてる?』
「大丈夫だよ。いいの?何か作ってくれるの?」
『あ、そんなんじゃなくて外食で!俺料理出来ないし……夕方までに考えてて』
「わかった。ありがとう」
お互い1人暮らしだから飯関係の約束はしやすいな
先輩が作ってくれた朝食を食べ、一緒に学校へ向かった
こうして誰かと一緒に登校するなんて高校生になって以来初めてだ
「じゃあまた図書室でね、今日の昼休みはちょっと行けそうにないかも。この前の提出物結局まだ出してなくてね……そろそろ書いとかないと尾澤が噴火しちゃうから」
『わかった。じゃあまた放課後』
そう言って先輩は自分の教室へ向かって行った
尾澤会長も色々大変だな……なんて思いながら俺も靴を履き替え教室へ向かった
「おいおいおい朔夜先輩と一緒に登校って一体どうなってんだよ」
どうやら颯太は学校に来る途中で目撃したらしい
昨日先輩が家に泊まった事を言うとめちゃくちゃびっくりしてた
「まさか……朔夜先輩と付き合ってるとか?」
『は?何言ってんだよ』
「だって泊まりって……」
有り得ない事を言われた
男が男の家に泊まっただけで付き合ってるとか全く意味がわからない
『お前だって俺んち泊まった事あるだろ』
「や、まーそうだけど……なぁ?」
毎度毎度やけに俺と朔夜先輩の事を言ってくるけど一体何なんだ!……校内有名人だからか。忘れてた
『ただの仲がいい先輩と後輩だって』
俺は颯太にそう言い自分の席へ向かった
確かに先輩は性別関係なしで激モテだろう。俺でも時々ドキッとする時あるし……だからドキッって何だよ
この日の昼休みは颯太と一緒に売店に行った
うんうん、今日は運動部の奴らはいないな
昼休みに先輩と居る事が多かったから久しぶりに颯太と一緒に居るような気がする
クラスで1番仲がいい奴だしな。気まぐれな奴だけどなんだかんだで俺の事を気に掛けてくれる
「はぁ……昼休み後の体育程嫌なもんはないな」
『わかる。吐きそうになる』
今日の体育は体育館でバスケをやるみたいだ
だけど、クラスのほとんどの奴らのやる気はなくて皆んなただボールを転がしたり持ってるだけで喋ってたり中にはボールを枕にして寝ている奴もいた。……よくこんな硬いの枕にして寝れるよな
先生もやる気がないのか、どうぞご自由にお遊び下さい状態だった
「……よし、今日はここまでー!今日の日付と同じ出席番号の奴は後片付けするように」
そう言って体育館から出て行った先生
今日の日付……って俺じゃんか!だりーッ!!
「頑張れ。俺は気分が悪いからもう帰る」
どうやら颯太は早退するらしい
体育館内を見てみると、あらゆる場所にボールが放置されていた
どうやらこの学校の連中はどいつもこいつも片付けると言う事を知らないらしい
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