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第38話
「いいですか朔夜、提出物は期限を守ってもらわないと私だけじゃなくて先生方も困るんですよ?それに何ですかその鞄は?学校指定の鞄はどうしたのです?」
「わかったからもういいって」
尾澤に説教される朔夜
帰り際までネチネチ言っちゃってさー
「はぁ、次からはちゃんと提出期限を守って下さいね」
「うん。わかった」
適当に返事をして教室を出て図書室へ向かった
もう、尾澤のせいで行くのがちょっと遅くなっちゃったじゃんか。いい奴なんだけどちょっと女々しいんだよねーまぁ俺が悪いんだけど
「憂ー?来たよー」
図書室のドアを開けながら言った
よくビックリさせちゃうから気をつけないとね
「憂ー?」
中に入り再び声を掛けた
「…………誰?」
貸出カウンターには知らない子が座っていた
「あれ?今日って憂が図書室当番の日だよね?君、誰?」
「憂君と同じクラスのもう1人の図書委員です。彼は知らない間に帰ったみたいで……片方がいなかったら代わりに図書室当番をしないといけなくて。だから急遽代わりに僕がする事になったんです」
「帰った?どうして?」
「さあ……いなかったんで帰ったんじゃないですか?……迷惑な話ですよ」
「いや、憂はそんな無責任な事しないよ」
図書室を出て憂に電話を掛けた
「……」
出ない
もう1度掛けてみるがやはり出ない
今日一緒にご飯食べる約束してるはずだし……だけど俺の所には何も連絡は来ていない
どうしたんだろう。また調子でも悪くなったのかな……
学校を出てそのまま憂のアパートへ向かった
具合が悪かったらきっと部屋で寝てるよね……昨日押し掛けちゃったし、無理させちゃったかなぁ
アパートに到着して憂の部屋のチャイムを押したが出てこない
「おーい、大丈夫??俺だけど」
ノックをして声を掛けてみたけど反応がない
居ないのかな……何処に行ったんだろ
次に憂のバイト先のスーパーへ行ってみた
品出しをしていた店員を1人捕まえ憂の事を聞いてみたが、憂は今日休みだから来てないって
再び携帯を見てみたけど相変わらず憂からの連絡はない
「どこ行ったんだろ……」
俺と約束してるし何も言わずドタキャンするような事はしないだろうし……
もう1度学校へ戻りまた図書室へ行った
「ねえ、君憂と同じクラスなんだよね?」
「また来たんですか?そうですが何か?」
「いつ頃から居ないかわかるかな」
「さあ……」
「わかった。ありがとう」
図書室を出て次に職員室へ向かった
担任に聞けば何かわかるかも知れない
「失礼しまーす。ねぇ、1年生の担任の先生捜してるんですけどいますかー?」
近くにいた先生に声を掛けた呼んでもらった
そして憂の事を尋ねた。……早退者は3名
でも、憂の名前はなかった
早退した記録がないなんておかしい
「そういえばさっき教室に行った時1人だけ鞄が置きっぱなしになっていたな」
「本当?ありがとう!ちょっと行ってみる」
担任からそう聞き、急いで憂のクラスへ向かった
確かに鞄が置きっぱなしにされた机が1つだけあるのを見つけた
これは……
中を覗いてみると中にはゲーム機、それに携帯まで……
間違いなく憂の鞄だった
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