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第39話
「……あれ?朔夜、図書室に行ってたのでは?」
廊下で尾澤と遭遇した
「憂見てない?」
「憂君?見てませんが……図書室に居るのでは?」
「居ないんだよ。なんか知らない子が居て憂は帰ったとか言うんだよ。でも教室に憂の鞄があってさ……先生にも聞いたんだけど早退した記録がないんだよね」
「それは変ですね……勝手に帰ったとかは?」
「携帯も置いて?……家に行ってみたけどいないんだよ」
「わかりました、1度校内を捜してみましょう。私は1階を見るので朔夜は2階を捜してみて下さい。居なければ他の階も見てみましょう」
「わかった」
状況を理解するのが早い。さすが生徒会長
尾澤と二手に分かれて憂を捜しに向かった
「いた?」
「いえ、いませんでした」
外は徐々に暗くなり、全ての教室を見て回ったが何処にも憂の姿はなかった
時計を見てみると、もう下校時刻は過ぎていた
「朔夜、そろそろ出ないと」
「わかってるよ」
いつまでも校内にはいられない……
「これだけ捜してもいませんし、きっと外なのでは?」
「体育館は閉まってるし中庭にもいないし……取り敢えずもう1度憂の家に行ってみるよ」
「わかりました」
『……ぐぬぬぬぬ!!』
何度も扉をこじ開けようと頑張ってみても全然ダメだった。体当たりしてみたり蹴ってみたり色々したけどびくともしない、なんて頑丈なんだ
今何時なんだろう。時計もないし窓がないから外の様子もわからないし……
『はぁ……』
疲れ果ててその場にへたり込んだ
ずっと叫んでたせいで喉がカラカラだ
何故こんな所に閉じ込められないといけないんだ
俺はただ言われた通り真面目にボールの後片付けをしてただけなのに……
図書委員の仕事もだけど、朔夜先輩との約束もぶっちかましてしまった
先輩、怒ってるだろうな……
あれだけ色々やってもらっておいて恩を仇で返すようなさ……
色々考えてたら段々腹が立って来た
『ちくしょーーっ!』
手当たり次第に倉庫の中にあった物を扉にぶつけまくってやった
倉庫の中がめちゃくちゃになったって構うもんか
そうだ、こうして暴れまくってたら見回りの先生か誰かが音に気がつくかも
『てりゃーーっ!!』
片付けたバスケットボールも投げまくってやった
他のボールと比べて重さがあるボールだからこいつが1番響くな
『ほりゃーーっ!!……ぐはっ!!!』
跳ね返ったボールが顔面に直撃した
『いっいてて……』
そしてポタポタと鼻血が出てきてしまった
やばっティッシュ……そんなもんあるわけねーよ
鼻をつまんで血が止まるのをひたすら待ったけど、なかなか止まらない
よく見てみると、体当たりしたり暴れまくったせいか体のあちこちにアザが出来ていたんだ
服は鼻血で血まみれだし、顔も鼻血があちこちついてて……
やばっこれで倒れて発見されたら事件になるやつじゃんか
ってか明日土曜だ。しかも次の日も休みだし学校には誰も来ない……
今日中に出れなかったらマジで死ぬパターンじゃん
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